7大会連続のW杯出場へ、挑戦の幕開けとなる舞台に気鋭の18歳が挑む。

日本サッカー協会は30日、9月に2試合を行う日本代表メンバー23人を発表。MF久保建英(18=マジョルカ)が選出された。9月10日のW杯カタール大会アジア2次予選ミャンマー戦(ヤンゴン)でプレーすれば、風間八宏の19歳67日を抜いてW杯予選での史上最年少出場となる。20年東京オリンピック(五輪)の星という期待すら超え、カタールへの道を歩み出す。チームは5日にキリンチャレンジ杯パラグアイ戦(カシマ)、10日にミャンマー戦に臨む。

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18歳の至宝が、ついにW杯への道に第1歩を踏み出した。6月のキリンチャレンジ杯エルサルバドル戦でA代表デビューし、東京五輪世代中心で臨んだ南米選手権(ブラジル)に続けての選出となった。MF中島、堂安らタレントがそろう2列目の1人として、新たな化学反応が期待される。

16年にバルセロナ下部組織から東京へ加入。東京五輪の星として将来を有望視された。帰国から約3年。五輪イヤーを待たずにA代表まで駆け上がり、再びスペインへ渡った。周囲の“過剰”な期待をも上回る成長曲線。五輪の先にあったW杯は今、18歳の視線の先に明確にある。森保監督は「持っているものを出すこと、彼自身がもっと成長するためにギラギラしたものを見せてほしい」とさらなる覚醒に期待した。

A代表デビューから激動の約3カ月だった。南米選手権の期間中に、世界最強クラブの1つ、スペイン1部Rマドリードへの完全移籍が決定。下部組織を過ごしたバルセロナから、ライバルチームによる引き抜きは世界に衝撃を与えた。チームメートから弟のようにかわいがられた東京の送別会では先輩のむちゃぶりに応え、新チームに早くなじむために「まずは(主将のDF)セルヒオラモスに(話しに)いきます!」と周囲を笑いに包んだ。

プレシーズンはトップチームに同行し、ドイツの強豪バイエルン・ミュンヘンとの試合で実戦デビュー。マジョルカへの期限付き移籍が決まるとサポーターから無念の声が続くほど、実力を認められた。先々のことは口にしないが「常に上を目指す気持ちは当然ある」と“ギラギラ感”は内に秘める。

森保監督は、新天地が決まって間もない選手に関してはクラブになじませるために招集を見送ることもあった。ただ、W杯への挑戦が始まる重要なこのタイミングで選出に踏み切った。ミャンマー戦で出場すればW杯予選での史上最年少出場。デビュー戦から日本代表史上最年少ゴールへの期待も続く。想像を超え続ける久保の、初めてのW杯への挑戦が幕を開ける。【岡崎悠利】