オーストリア遠征中の日本代表(FIFAランク27位)が、パナマ(同77位)に1-0で勝利した。1トップで先発出場したMF南野拓実(25=リバプール)が、自らが倒されて獲得したPKを冷静に決めた。森保体制となってからチーム最多得点を更新する12得点目。大黒柱のFW大迫勇也(ブレーメン)を欠く中、頼れる背番号10が決めた。次戦は17日(日本時間18日)にメキシコ(同11位)と対戦する。

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チャンスを決めきれないじりじりとした空気を打ち破ったのは、頼れる背番号10だった。後半15分、MF久保のスルーパスに抜け出してペナルティーエリア内へ。わずかにそれていくボールをうまく操り、1タッチで飛び出してきたGKを翻弄(ほんろう)し、倒された。同16分のPKは自ら右足で中央付近へ冷静に決めた。

開始から押していた。前半2分、MF久保のFKをMF橋本が頭で合わせるもGK正面。7分にはDF植田のロングボールで1トップの南野が抜け出すも、右足ダイレクトで放ったシュートはGKに阻まれた。後半も9分にDF長友、14分にはDF室屋が得点機でシュートを外していた。もどかしい時間が続いていただけに貴重な1発となった。

所属するプレミアリーグの強豪リバプールでは厳しい競争の中にいる。10月のオランダ遠征後は出場機会が減り、ベンチ外も経験した。世界トップクラスが集うクラブ。「悲観的にはなっていない。今までもそれを乗り越えてきた。挑んでいく気持ちは常に持っている」と強い覚悟がある。代表に向けては「試合時間が短い分、ここでのプレーで何かを示したい気持ちは強い」と意気込んでいた。言葉通り、ゴールというこの上ない結果を残した。

オランダ遠征での2試合がセットプレーによる1点のみに終わった。この日も得点はPKのみだったが、久保やMF三好らによるリズミカルなパス交換でゴール前にたたみ掛けた。森保監督は試合前から「DFラインを突破してシュートにもっていくところで、質を出すところをトライする」と話しており、3バックを生かした連係は見せた。流れから奪うゴールは強豪メキシコ戦へ残したが、第一目標とした勝利は、エース南野の右足が引き寄せた。【岡崎悠利】