日本サッカー協会(JFA)は18日、国内で2試合を行う日本代表メンバーを発表した。チームは25日に韓国代表との国際親善試合、30日にモンゴルとのW杯アジア2次予選を行う。神戸GK前川黛也(だいや、26)は父子2代での日本代表入りを実現させた。サプライズで初選出された前川は、J1通算32試合と出場経験こそ少ないが昨季終盤から急成長。ドーハの悲劇を体験した元日本代表GKの和也氏(52)を父に持ち、引き継がれた闘争心を武器に22年W杯カタール大会を目指す。

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ダイヤの原石が輝く時がきた。関大から17年に神戸入りし、プロ5年目を迎えた神戸GK前川が代表に初招集された。クラブを通じ「謙虚にさらに成長してきます。ただ、代表にいくからには絶対に貢献します」とコメント。今季開幕5戦に先発も、J1通算は32試合の出場だけ。経験値がものをいうGKとしてはサプライズ選出だ。

もう1つの驚きは、93年Jリーグ創設後で父子で代表入りは初の快挙となったこと。父和也氏はJ元年から広島で活躍し、日本代表では92年アジア杯優勝に貢献。国際Aマッチは17試合に出場した。

広島県内でサッカークラブの指導者を務める父はこの日、息子の代表入りを聞いて「びっくりした。つい最近、試合に出始めたばかり。代表に入るなんて全然思ってないから」。

才能が受け継がれたのは間違いない。前川は191センチで父より2センチ高い。1対1でも臆せず前に出る。昨季は顔面付近を蹴られ、頭部を6針縫った。手足が長くモデル体形なのは、高校時代に卓球で瞬発力を磨いた母譲り。今やスーパーセーブ連発は神戸の売りだ。

前川が実力を認められたのは昨年末のACLだ。好守で初出場でベスト4に貢献。準決勝は自ら与えたPKで決勝点を献上し、号泣した。父がドーハの悲劇を味わった同じカタールで転機を迎えた。

父は「1対1の対人プレーで怖がらないのは自分とよく似ている。いい準備をして臨んでくれれば」と静かに期待する。父の1学年下で広島で同僚だったのが日本代表森保監督。ダイヤの新たな挑戦が、この日韓戦から始まる。【横田和幸】

◆前川黛也(まえかわ・だいや)1994年(平6)9月8日、広島県生まれ。広島ジュニアユース、広島皆実、関大を経て神戸入り。18年11月3日名古屋戦でJ1デビュー。191センチ、86キロ。推定年俸1500万円。今月12日に第2子となる長女が誕生したばかりで家族は夫人と1男1女。

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