鹿島アントラーズが大卒ルーキーの決勝ゴールでガンバ大阪を下した。

1-1で迎えた後半9分、左からMF仲間隼斗(31)のクロスがFW鈴木優磨(28)を経由してファーサイドに抜けると、ここに右サイドバック(SB)のDF濃野公人(22)が走り込み、右足でニアサイドを打ち抜いた。

シュート直後にはオフサイド判定をした副審の旗を見て濃野は頭を抱えたが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)での検証の末、ゴールが認められた。

これで自身3試合連続ゴールとなる濃野は「監督からどんどん前のスペースを見つけたら入っていくようにと指示をもらっていた。(仲間)隼斗くんがボールを持って1歩中を見た時に、逆サイドのポケットが空いているなっていう意識があった。いい形で僕の前にボールが来てくれたので、押し込むだけだった」と振り返った。

試合が行われたパナスタは、悔しさの残っている場所でもあった。21年6月の天皇杯2回戦で、当時所属していた関学大がG大阪と対戦した。この試合に出場意欲を燃やしていた濃野だったが「まさかのメンバー外でした」。プロ相手に公式戦で力試しする機会を得られず、ゴール裏から声援を送りながら、その悔しさを力に変えることを誓っていた。それから3年がたち、鹿島の選手として初めてピッチに立った試合で、試合を決める一撃を沈めて見せた。

大卒ルーキーを起用し続けるランコ・ポポビッチ監督(56)は、濃野の攻撃力を評価し、その持ち味を発揮するよう後押しする。「彼の一番の良さが守備ではないというのは、見ていたらわかる。彼が前で見せている姿、クオリティーは素晴らしい。それを生かしたい」。周囲の選手のサポートに助けられながら、濃野はチームに躍動感を与えている。

指揮官は濃野ついての質問に答えた後、「彼が将来日本代表に入った時には、今の私のコメントを覚えていてください」と笑みを浮かべた。そのポテンシャルを十分に感じさせるパフォーマンスで、鹿島に勝ち点3をもたらした。【永田淳】

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