東京五輪の日本代表MF久保建英(20=レアル・マドリード)が、世界にサプライズを起こすことを誓った。金メダルを目指すチームのエースとして、悲願達成には活躍が不可欠。欧州でしのぎを削り、強豪国のレベルの高さも身に染みてわかっている。自信と覚悟を胸に、本番までの短い期間で総仕上げを行う。

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久保の落ち着いた口調に覚悟がにじんだ。自身初の五輪に向け「いよいよ近づいてきたという気持ち。世界への日本のアピールになる。いい意味で、世界を驚かせる大会にしたい」。優勝には、中2日で続く6試合を全勝すること。自身がプレーするスペインは所属先であるRマドリードのアセンシオがオーバーエージ(OA)枠で選出されるなど、欧州選手権組も加わる豪華メンバー。最大のライバルとなりそうだ。

森保監督率いるチームが掲げるのは金メダル。日常的に世界の猛者と渡り合う男は、その重みも分かっている。OA枠の招集も順調で、五輪代表では過去最強ともいわれるが「個人的には(強豪国に)近づいたとは思っていない。(成長の)スピードは離された気もする。(メダル争いの)スタートラインには立っているが、強豪国は何年も前にここを経験している」。金メダルに対してはあくまで挑戦者であることを強調した。

もちろん、強敵相手にも、真っ向勝負でやり合う覚悟はできている。「自分がびびったらおしまいだと思っている。対等以上の気持ちで戦いたい」と言葉に力を込めた。スペインリーグに挑戦し、2シーズンを終えた。期限付き移籍で3つのクラブで過ごした時間は「確実にプラスになっている」と話すが「まだまだ、始まったばかり」。基本的に、同世代が集まる五輪は「結果、内容とも、いままで興味をもってこなかった方にも、明白な違いを見せたい」と話す通り、真の力を見せつける場でもある。

8日の静岡産大との練習試合では先制点となるオウンゴールを誘発し、2点目を自ら決めた。連日の練習で疲労もある中でも、好調さを印象付けた。本大会は、基本的に無観客での開催が決まった。「ピッチでいいプレーをみせることが、自分が考えるサッカー選手としての価値。(大会前の国際親善試合の)2試合は観客の前でいいプレーをできるようにしたい」。日本サッカー界の顔として、大きな期待を背負うことになる。そんな重圧も力に変え、力強く五輪本番へ、突き進む。【岡崎悠利】

〇…チームは午後から約1時間の練習を行った。8日に練習試合をこなしたこともあり、ボール回しなど軽めのメニューで終えた。キックを使ったバレーボール形式のミニゲームでは4人1組で対戦。MF久保がオーバーヘッドでスパイクを打とうとして失敗。周囲から大きな笑い声が響くなど、明るく、穏やかなムードで汗を流した。