日本には鎌田がいる-。11月開幕のW杯カタール大会に出場する日本(FIFAランキング23位)が、南米予選で敗退したパラグアイ(同50位)に4-1で勝った。

代表復帰したMF鎌田大地(25=アイントラハト・フランクフルト)が1得点1アシストと攻撃をけん引した。W杯アジア最終予選を終えて最初の国際親善試合で、所属クラブで欧州リーグ(EL)を制した「EL男」が躍動。6日には東京・国立競技場で王国ブラジル(同1位)と対戦する。

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ゴールの勢いのままに、鎌田がピッチの上で1回転した。前半42分。MF堂安の右クロスに、相手DFの間を抜うように、ヘディングで飛び込んだ。

「インサイドハーフの選手が強いチームは、そこに入っているイメージがあった。狙っていた」

この日は代表では初の中盤の左で出場。先発し、さまざまな場面に顔を出し攻撃をけん引した。「フランクフルトで割と(同じ位置で)出てる時もありましたし、特にやりづらさもなくできた」。異なるポジションでも存在感を放った。

「特徴という特徴があまりない」。自らをそう表現する。足が速いわけでも、一瞬で相手を抜き去るドリブルがあるわけでもない。だからこそ、“唯一の武器”を自負する。「全体的に、何でもできるというのが他の選手と違うのかなと思う」。昨年11月以来の代表復帰戦で見せたのは、大切にしてきた万能さだった。

W杯アジア2次予選までは攻撃の軸。しかし、最終予選中にチームは4-3-3のシステムに変更。トップ下の定位置はなくなり、招集外が続いた。「(代表)チームのみんなに勝ってほしいと思っていた」。現状を嘆くのではなく、向き合ったのは自身のプレー。持ち味に磨きをかけ、ビッグタイトルを手に戻ってきた。

21-22年の欧州リーグでは、全13試合に出場し5得点の活躍で優勝に貢献。同僚の長谷部とともに、02年にフェイエノールトの小野伸二が成し遂げて以来の日本人Vの快挙だった。「素晴らしいこと。日本人が2人所属するチームが勝ったのは、すごく大きなものになる」。そう称賛していた小野氏も解説者として来場していた。大先輩が見つめる前での活躍だった。

代表では約1年ぶりのゴール。決めれば5戦5勝。ほおがゆるんだ。「気持ち的にも楽になったし、後半もチャンスはあった。点を取れるようになりたいと思う」。祝福してくれた仲間とともに、W杯のピッチに向け、突っ走る。【磯綾乃】

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