12年ぶりの世界一返り咲きを狙う日本代表なでしこジャパン(FIFAランキング11位)が、ザンビア(同77位)に5ゴールで大勝発進した。

いい時間帯に先制ゴールを挙げた。0-0の前半43分、ボランチ長谷川唯(26=マンチェスターC)が右サイドの藤野あおば(19=日テレ東京ヴェルディ)へ浮き球のパス。これを左足でうまくトラップした藤野が、素早く右足でグラウンダーのクロスをゴール前へ入れると、逆サイドから走り込んできたMF宮沢ひなた(23=マイナビ仙台)が右足ワンタッチでゴールへ流し込んだ。

立ち上がりから圧倒的に攻めた。しかし、なかなか得点が遠かった。前半7分にはゴール正面からの藤野の右足シュートが相手GKに阻まれた。10分にも藤野が右足ミドルを狙ったが右ポストを直撃し、あと数センチのところでゴールネットに吸い込まれなかった。

21分には、MF遠藤純(23=エンゼルシティー)が右サイドからFKを蹴ると、ゴール前でこぼれ、素早く反応した田中美南(29=INAC神戸)が倒れ込みながら右足で押し込んだ。先制ゴールかと思われたが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の末に田中がオフサイドポジションにいたことが分かり、得点が取り消された。39分にはボランチ長野風花(24=リバプール)の右足ミドルは相手GKに好セーブされた。

何度も好機をつくっていたなでしこにとって、仮に0-0でハーフタイムに突入していたら、少し嫌な雰囲気が漂ってくるところだった。その中で宮沢の先制点は、なでしこに大きな自信と勇気を与える値千金の一発となった。

後半は4ゴールで突き放した。立ち上がり、長谷川のパスに抜け出した藤野が相手GKに倒されてPKを獲得。しかしこれもVARの末にオフサイドとなったものの、後半10分、長谷川のスルーパスを受けた左サイド遠藤が中央へクロスを送り込むと、田中が押し込んで「3度目の正直」でチーム2点目をマークした。

さらに同17分には、敵陣右サイド深くでラインを割りそうになったボールを田中美がギリギリ「田中の1ミリ」で中央へ折り返し、宮沢が左足で押し込んでダメ押しのチーム3点目をマークした。

日本は同26分にも長谷川のパスを受けた遠藤がゴール左45度の位置から左足シュートを決めて4点目。主将の木下FWバーバラ・バンダら快足FWをそろえ、危険な相手と考えられていたザンビアを技術で圧倒した。

ロスタイムにはFW植木理子(23=日テレ東京V)がPKを獲得。自ら蹴ったが、GKにはじかれ、クロスバーに当たって外した。ところがやり直しとなり、今度は冷静にチーム5点目を沈めた。

11年女子W杯ドイツ大会を制してから12年。再び頂点を目指し、最高の形でスタートを切った。

前回19年フランス大会の24チームから32チームに拡大。日本は26日にコスタリカ(FIFAランク36位)と、31日にスペイン(同6位)と対戦し、まずは各組上位2チームが進む決勝トーナメントを目指す。【千葉修宏】

 池田太監督「高い集中力をもって戦ってくれました。やはりこの初戦、ザンビアさんも非常に勢いを持って入ってきたので、初戦の重要性をかみしめていました。いろんな狙いを持ちながら、また相手の変化を見て、対応できた部分もあった。そういったところもしっかりできたんじゃないかと思います。前線の選手のスピードある選手に対しての対応、そのための準備、集中力含めてしっかり対応できたんじゃないかなと思います。また移動を含むコスタリカ戦になるので、しっかり準備していきたいと思います」