強い。既に16強入りを決めていた日本代表なでしこジャパン(FIFAランキング11位)が4-0で強豪スペイン(同6位)を下し、C組1位での決勝トーナメント進出を確定させた。

1次リーグ3戦全勝は準優勝した15年カナダ大会以来2度目の好発進となった。

キックオフ前は苦戦が予想されたが、不安を吹き飛ばした。ボール保持率では大きく上回るスペインに対し、鋭すぎるカウンターがさく裂した。

前半12分、センターバックの熊谷紗希主将が、高い位置を取っていた左ウイングバック遠藤純にロングフィード。受けた瞬間にためらわず、相手DF裏へ低くて速いクロスを入れると、快足を飛ばして走り込んだ宮沢が左足で先制ゴールを流し込んだ。

同28分にもカウンターから抜け出した宮沢が躍動する。左を並走していた植木にパス。植木はボックス内に進入すると、目の前に相手DFがいる状態だったが、思い切りの良い右足シュートを放った。これが相手に当たって、高いバウンドとなりゴールに吸い込まれた。

FIFAランク上位との試合だったが、2点だけで終わらない。同40分、ショートカウンターからボールを受けた植木が、今度は右側を追い越していく宮沢へスルーパス。これを倒れながら右足で決め、宮沢が今大会の得点ランキング1位となる4点目を挙げた。

「決勝トーナメントも見据えながら戦いたい」と話していた池田監督の采配が的中した形だ。第2戦コスタリカ戦から先発5人を変更。攻守の要で、なでしこの「心臓」とも言える長谷川、19歳の新星藤野に、1トップで奮闘していた田中美らをベンチスタートさせた。コンディションを回復させつつ、勝ち上がればスペインと準決勝で再び対戦するため、必要以上に手の内を見せないという狙いもあった。

その中でも、手を緩めなかった。後半から途中出場させたFW田中美が豪快弾。スローインを受けて右サイドを駆け上がり、中に切り込み、左足でゴール左上に突き刺して引導を渡した。この時点でシュート6本で4点という効率の良さも示した。

守っては3試合連続完封と盤石の内容。C組を1位で通過すれば、準々決勝、準決勝と同じオークランドで戦えるという、移動が少ない「地の利」も勝利とともに得た。

対するスペインは昨年、ビルダ監督の指導法に反発した主力15人が代表チームでのプレーを拒否するという“事件”が起きた。その後、多くは代表に戻ったが、中心選手の数人が今大会もメンバーから外れていた。一方、なでしこは誰が出ても活躍できるチーム力の高さを見せつけた。まさにパーフェクトな勝利だった。

無傷の3連勝で1次リーグC組を1位突破。8月5日の決勝トーナメント1回戦でA組2位のノルウェーと対戦する。