サッカー日本代表森保一監督(55)が26日、ドイツ、トルコとの欧州遠征後に行った欧州視察から帰国し、ドイツ2部ニュルンベルクMF奥抜侃志(おくぬき・かんじ=24)をチェックしたことを明かした。欧州トップクラブで活躍する選手が増えた中でも、チームのレベルアップのために、気になる選手は自らの目で確認。カナダ、チュニジアと戦う10月シリーズで、激戦区の2列目のポジションに新戦力が試される可能性が出てきた。

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森保監督が今回視察した全9試合の中で、唯一下部リーグの試合がニュルンベルク-フュルト戦だった。その他はブライトンの三笘薫、Rソシエダードの久保建英、リバプールの遠藤航、ラツィオの鎌田大地ら主力組の試合がメインだったため、奥抜への「本気度」が伺える。

栃木県出身の奥抜は小学3年で入団した群馬の強豪ファナティコス時代から頭角を現し、大宮の下部組織を経て18年にトップに昇格を果たした。昨年8月にポーランド1部グールニク・ザブジェに期限付き移籍し、26試合4ゴール。今季からニュルンベルクに完全移籍し、森保監督が視察した翌週のブラウンシュヴァイク戦で初得点をあげた。

171センチと小柄ながらキレキレのドリブル突破が武器で、攻守にハードワークできる部分も魅力だ。森保監督は「昨シーズンまでポーランドにいた時も映像では確認していますし、東京五輪世代の選手なので、初めてといいつつ初めてではないという選手」とマークは続けていた。17年のハリルホジッチ監督時代にブルガリア1部リーグ所属の加藤恒平が27歳で初招集された例があるが、森保監督は実績にとらわれることなく、目を光らせている。

10月シリーズでは、11月から始まるW杯アジア2次予選に向けて、国内組や新戦力を試すのではないかとの見立てもある。「選択肢の中にはありますけど、現実はどうなるかは決めていません」としつつ「試したい、見てみたい選手はたくさんいますけど、これまでやってきたベース、積み上げを0にして失ってしまっては、これからの戦いが難しくなってくる。積み上げの部分と試す部分、チャレンジする部分は、これからスタッフとミーティングがあるので方向性を決めていきたい」。歩みを止めず、常にチームを進化させていく。【佐藤成】