サッカー女子日本代表なでしこジャパンが北朝鮮と対戦するパリ五輪アジア最終予選第1戦(24日)が、中立地のサウジアラビア・ジッダで行われることが20日、決定的となった。日本サッカー協会(JFA)佐々木則夫女子委員長(65)が明らかにした。開催地に関する正式文書こそ未達ながら、この日までにアジア・サッカー連盟(AFC)から、同地開催で準備を進めるよう連絡。チームは、この日夜に千葉市内の宿舎を出発し、サウジアラビアへ向かった。試合の4日前にようやく試合地が固まるという異例の事態。DF熊谷紗希主将(33)は選手目線の思いを包み隠さず明かし、池田太監督(53)は泰然自若の構えで臨むことを強調した。

二転三転する北朝鮮の対応に、振り回された。19日午前に所属するイタリア・ローマから帰国した熊谷は、わずか1日半で中東への移動を強いられた。「これを想定できた人は正直いないと思うし、本当にネガティブなことを言うとかではなくて、こんなことが起こっていいのかなと思います」。素直な思いを吐露した。

数日前に中東開催案が出た際には、イングランドでプレーする4選手のように欧州に残って直接合流する可能性もあった。しかし、北朝鮮が拒否して中国案が浮上。日本に戻ることを余儀なくされた。そしてまた長時間フライト。「こんなことあってはならないとは思うし、選手は試合に向けた準備をするのが仕事ではあるんですけど、オーガナイズする方にも、ベストコンディションで臨ませる責任は絶対ある。今後はこんなことがあってはいけない」と強く訴えた。

それでも経験豊富な主将は前を向く。「何はともあれ勝つしかなくて、結局これを言い訳にできない状況にはなる。ここに変なストレスを抱えないことと、試合に集中していく形を作るってことが一番重要」と強調した。合計約2万キロの移動にも「日本食を楽しんで、戦いに行きたいなと思います」と受け止め、切り替えた。

そんな選手の思いをくみながら、池田監督は冷静に戦いを見据えた。国内合宿からアウェー戦という流れや、20日出国という当初の予定には変更なく「計画していたトレーニングもできそういう意味では準備はしっかりできた」とうなずき、続けた。「(憤りを)サッカーのことや相手と戦う、DPR(北朝鮮)に向けてのエネルギーに使おうよと話をしました」。ドタバタへの怒りを勝利への燃料とし、総力戦で勝ちにいく。【佐藤成】