日本サッカー協会(JFA)は22日、FIFAワールドカップ(W杯)北中米大会アジア2次予選北朝鮮戦の2戦目(26日)を待つ日本代表を解散すると発表した。アジア・サッカー連盟(AFC)から、国際サッカー連盟(FIFA)と協議の末に4日後の試合を「当初の予定通り平壌もしくは中立地で開催されないことを決定」になった旨の通達を受けたといい、代表期間中の途中解散を決めた。

今後の「アウェー北朝鮮戦」の取り扱いは、FIFAの担当委員会に付託され、さらなる決定が下される。別日への延期も可能性は残されているが、W杯2次予選の開催期限は6月。既にミャンマー戦2試合があるため、没収試合になることが予想される。

その場合は規定で3-0の不戦勝に。戦わずして4連勝が確定し、最終予選(今年9月開幕)進出が決まる前代未聞の展開になる。

国内待機に変更していたチームはこの日、都内から千葉市内に移って調整した。当初は朝に経由地・事前合宿先の北京へ渡航予定だったが、北朝鮮側の唐突な要求を受け、滞在を延長した。選手だけでなくスタッフも、北朝鮮に振り回された形となった。

試合を巡っては、北朝鮮協会からアジア・サッカー連盟(AFC)に対し、自国開催(金日成競技場)を返上するとの文書が届いたと、前日21日の試合後、日本協会の田嶋幸三会長(66)が明らかにしていた。日本で感染者数が増えている「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」が、致死率30%超の「悪性伝染病」と同国内では伝えられるなど、防疫上の警戒を強めたとみられる。

その試合のハーフタイムには、北朝鮮の団長からまさかの日本開催を打診されたが、入国手続き上の問題で受け入れなかったという。政府が制裁を科しているため、この日までの入国許可しか下りていなかった。

2月の女子日本代表なでしこジャパンも、パリ五輪(オリンピック)アジア最終予選の第1戦が当初は平壌開催だったが、中立地のサウジアラビア・ジッダへ。物議を醸したが、それでも試合3日前には実施が決まった。今回の男子は、急転中止の決定が降ってくる異常事態となった。

決定を受け、森保ジャパンは「22日をもって活動を終了する」とJFAも発表。国内外から選手を集めながら、スペインから呼んだMF久保建英や約1年3カ月ぶり復帰のDF長友佑都ら9選手が出番なし。中立地を模索しつつ、日本の不戦勝案も挙がった中、チームは準備を怠らなかったが、虚無感だけが残された。【佐藤成】

◆森保一監督コメント

昨日の試合において気になった点や改善点を修正する機会がなくなったことと、次の試合でより多くの選手を起用できなくなったことは残念に思います。

また今回、所属クラブでタフなシーズンを送っている中、招集に応じてくれた選手たちが厳しい状況の中でも常にポジティブな姿勢をもって活動に臨んでくれたことに感謝しています。

日本代表の活動は今後も続きますし、これまでの積み上げをベースにチームとしてさらなる向上を目指します。