パリ五輪出場を目指すU-23日本代表が国際親善試合で同ウクライナ代表を2-0で破った。アジア最終予選を兼ねるU-23アジア杯カタール大会前最後の強化試合で勝利し、五輪切符獲得に弾みをつけた。

後半3分にMF佐藤恵允(22=ブレーメン)がセットプレーから先制点を奪い、同31分には途中出場のMF田中聡(21=湘南)が加点。激しい中盤のメンバー争いで猛アピールに成功した。22日に敗れたマリ戦から先発10人を入れ替えながら、シュート数で17-1など完勝。総合力を見せつけた。

   ◇   ◇   ◇

第2の遠藤航になる。昨年10月以来の招集となったMF田中が守備だけでなく攻撃でも存在感を示した。1-0の後半22分から途中出場すると、同31分にカウンターからペナルティーエリア左まで進入し、得意の左足を振り抜いてゴール右に突き刺した。うれしい代表初ゴールに「迷わず左(足)で振り抜いて、よかったです」と笑顔で振り返った。

クラブでの好調さを、そのまま代表のピッチで表現した。今月2日の京都戦で今季初得点を奪い、直近の17日浦和戦では3得点に絡むなど躍動。「定着しているわけではない。爪痕残さないと次はない」。その言葉通り、結果を示し、一気に中盤の有力候補に浮上した。1試合目のマリ戦は出番なしに終わるも、じれなかった。ようやく回ってきた出場機会で「ミスをしても失うものはないというメンタルで入ったのがよかった」。

中学まで長野で育ち、高校から湘南のアカデミーで過ごした。同じ湘南下部組織出身で、日本代表の遠藤主将は憧れの存在だ。現在、タックル数はリーグ3位で先輩と重なる「つぶし屋」。オフに湘南のホームゲームを訪れたリバプール遠藤と試合後のロッカールームで言葉を交わしたことがあり、早いうちからの海外移籍を勧められた。その後、ベルギー1部のコルトレイクに期限付き移籍。1年で湘南に戻る悔しい思いもしたが、経験を無駄にしなかった。

10日に行われたマンチェスター・シティーとの一戦でハイパフォーマンスを披露した遠藤から刺激を受けた。それでも「届かないところではないと思っている。自分次第でどこにでもいける。自分に矢印を向けてやっていきたい」。16年リオ五輪で主将を務めた先輩を超える得点力も発揮した。ともに中盤を組んだMF藤田譲から熱烈なキスで祝福されたチームの愛されキャラが、アジア最終予選、五輪本番でのメンバー選出を射程圏内に入れた。【佐藤成】