青森山田のU-18日本代表候補DF常田克人(まさと、3年)が無失点に抑え、1-0での6大会ぶりの4強入りに貢献した。家族は「バレー一家」で、189センチの長身を生かした空中戦での“アタック”に加え、体を投げ出した“レシーブ”で富山第一の攻撃を寸断。J1仙台入りが内定している好素材が守備陣をけん引した。チームは、準優勝した09年度大会以来6年ぶりの決勝進出をかけ、9日の準決勝で国学院久我山と埼玉スタジアムで激突する。

 無失点勝利の喜びは、円陣を組んで分かち合った。80分間失点ゼロで戦いを終えた自陣コート中央。DF常田は、センターバックの相方DF近藤、守護神のGK広末と肩を組み、たたえ合った。守備として、最大であり唯一の勲章が無失点で終えること。「後ろが無失点でいければ前が点を取ってくれる。自分で自分を鼓舞して守りました」。充実感に浸った。

 ピッチでも頭ひとつ抜けた189センチの恵まれた体格は親譲りだった。両親がバレー経験者で、姉美夢さん(19)は昨年の春高バレーに春日部共栄のメンバーとして出場し、ベスト16に入ったバレー一家。「小さい頃にバレーをしていたけど、サッカーを選びました」。幼少期から仕込まれた跳躍力から後半5分、“アタック”を仕掛けた。右CKを合わせたドンピシャのヘディングシュート。不運にも相手GK正面となり「当たった瞬間(ゴールに)いったと思ったけど…」と悔やんだが、守備で見せる。

 後半16分のピンチの場面。相手のシュートに体を投げ出し寸断した。「桐光学園戦で体を張れていなかった。今日は気持ちの面でも出せたと思う」。身をていした“レシーブ”で危機を救い、同31分の決勝弾へとつないだ。正確な左足キックという飛び道具も披露し、そのポテンシャルを見込まれJ1仙台入りが内定している。

 小学4年からDF一筋で、醍醐味(だいごみ)を感じている。「競っているときの景色が好きなんです」。同校初の頂点まであと2つ。日本一という絶景が待っている。

【栗田成芳】