青森山田が国学院久我山(東京A)に1-2で敗れ、09年度大会以来2度目の決勝進出を逃した。前半17分、DF原山海里(3年)のロングスローから先制するも、8分後に追いつかれた。後半何度もチャンスをつくったが決めきれず、ロスタイムにCKから決勝点を許した。悲願の青森県勢初優勝に、届かなかった。

 ホイッスルが鳴った瞬間、緑色の戦士たちはピッチ上で泣き崩れた。悲願の県勢初優勝を狙った青森山田に、勝利の女神はほほ笑まなかった。1-1で迎えたロスタイムの後半48分、CKをファーサイドに蹴りこまれ、折り返しを相手に押し込まれた。PK戦突入間際の決勝点献上に黒田剛監督(45)は「整理がつかない。6年前の準優勝を乗り越えるためによく戦った」とぼうぜんと振り返るしかなかった。

 微妙に狂ったシナリオを修正できなかった。試合開始直後に、DF北城主将が競り合いでスパイクと接触し、頭部を負傷。ロングスローで先制点を演出した原山も前半のシュートブロック時に右足をひねった。黒田監督は「原山は代えようか、という状況だった。負傷者が出てプランが狂った」と下を向いた。

 試合運びでも後手に回った。相手のプレスにDFラインが後退し、高い位置でセカンドボールが拾えず、ロングスローの力を発揮する場面も少なかった。「ラインを高くして圧力をかけてスローインを奪う形にすべきだった。今大会2度ロスタイムで笑ったけど、最後に泣いた」と指揮官はうなだれた。

 偉大な先輩を超えるために集まった。現3年生は09年度大会の準優勝を小6で見た柴崎“直撃”世代だった。主将の北城は八戸市から青森山田中に進学。MF神谷はさらなる飛躍を求め、東京Vユースから高2の1月に転校してきた。同期33人が入学から誰1人脱落しなかったのは、同校初だった。

 憧れの柴崎を超えることはできなかったが、すべてを出しきった。練習からチームメートに厳しく接し、黒田監督から史上最高の主将と言われた北城は胸を張った。「結果的に負けてしまったけど、日本一を目指してやってきたことはいい経験だった。結果で恩返ししたかったけど、悔いはない」。青森山田で培った経験を胸に、次のステージに羽ばたく。【高橋洋平】