J2札幌FW内村圭宏(32)が来季、チームに残留することが9日、分かった。今季全40試合に出場し10ゴール。今季いっぱいの契約も、クラブはJ1昇格を見込む来季も中心戦力と考え契約延長オファー。この日までに合意に至った。今日10日は長女香咲(かえ)ちゃんの1歳の誕生日。去就を固めたFW最年長が、12日千葉戦でバースデープレゼント代わりの1発をたたき込み、J1昇格を引き寄せる。

 札幌の攻撃を支えてきた13番が、来季もチームに残りプレーすることを決めた。在籍7年目。今季はチームで唯一、全試合に出場し、得点だけでなく、ゴール前でのチャンスメークから前線での守備と献身的プレーでけん引してきた。札幌選手歴代最多58発を記録する功労者を、チームも高く評価し契約延長オファー。本人と合意し、今後は条件面を詰め正式契約となる。

 去就を決め、今度は昇格を決める。前節徳島戦は途中出場ながら後半24分、右サイドからドリブル突破し強烈な左足ミドル。惜しくもGK好守に阻まれたが、流れが悪い中、ひたむきに汗をかき、ボールを引き出しチャンスを作り続けた。結果的に敗れ3位清水と勝ち点3差に詰められたが、残り2戦を1勝1分けでも昇格できる優位な状況は変わらない。「自分たちが勝てばJ1にいける。一番良い位置にいるのは変わりない。出たらしっかり仕事をしたい」と気持ちを高ぶらせた。

 今日10日、最愛の長女香咲ちゃんが1歳の誕生日を迎える。昨季は股関節痛で10月末から戦線離脱。サッカーができないもどかしさの中、長女が誕生した。復帰へ向け必死でリハビリを続ける間、支えになったのが娘の存在であり、その愛くるしい笑顔だった。「しっかり勝って誕生日に花を添えられたら」。バースデー後初戦を飾り、J1を一気に引き寄せる。

 自動昇格争いは松本、清水と三つどもえになったが、土俵際での競り合いは5年前に経験済みだ。自身の2発で昇格を決めた11年12月3日の最終東京戦前、3位札幌は4位徳島と勝ち点65で並んでいた。札幌が勝っても徳島が大量得点差で勝った場合、逆転される可能性があった。さらに札幌の相手は優勝を決めている東京、徳島は14位岡山だった。「前の時より状況はいいわけだし、連勝すればいい」。気負いはない。目の前の勝利にまい進すれば、おのずとゴールは近づいてくる。【永野高輔】