鹿島アントラーズは1-0でガンバ大阪を下し、首位ターンを決めた。

 鹿島を支えてきたベテラン3人が、チームを首位に浮上させた。0-0の後半10分、プロ20年目の小笠原が中央から約30メートルのスルーパス。右サイドに走り込んだのは左太もも負傷から6戦ぶり先発復帰の遠藤。利き足の左足で不規則な回転をかけてゴール右上隅に「ちょっと狙ってみようかなと思った」。シュートは、GKの手をかすめてネットを揺らした。後半ロスタイムには相手CKから連続シュートを浴びたが、最後はGK東口のダイビングヘッドをGK曽ケ端が好セーブ。1点を守りきった。

 GKクォン・スンテの左手負傷や中2日も考慮し、前節柏戦で出番のなかった小笠原と遠藤を起用。前日4日にはDF昌子が「出てくるのがソガさんに満男さんに(遠藤)康さんですよ。総力戦って言ってもすごすぎ」と表現した通り、総合力の高さを証明した。

 ACL敗退が決まった翌日の5月31日、石井監督の解任がチームに伝えられた。その翌日、選手会長の昌子が決起集会を提案。自由参加だったが、予定のあった選手も仲間を優先して鹿嶋市内の天ぷら料理店に全員が集まった。「俺たちの責任」「残り全部勝ってやろう」。誰ともなく声があがった。最後に小笠原主将が「何も言うことはない」。気持ちは1つになった。

 大岩体制後、無傷の5連勝。吹田Sでも5戦全勝。延長やPKを除くアウェー戦全勝でのリーグ戦折り返しはJリーグ初。殊勲弾の遠藤は「アウェーで勝つのも大事だけど、ホームで勝たないと、うちのサポーターは納得しない。順位も最後に1位でないと意味がない」。鹿島の連覇への結束は揺るぎない。【鎌田直秀】

 ◆首位ターン J1の全18チームがシーズン半分の17試合を消化して鹿島が首位。鹿島は2ステージ制だった昨季も第1ステージ(前半戦)を制したが、現行の18チームによる1シーズン制(05~14年)で鹿島の首位ターンは、最終的に優勝した09年以来。ただ、前半戦首位から優勝は意外に少なく、05~14年の10年間で06年の浦和、09年の鹿島、13年の広島の3チーム。同2位からが5チームと最も多い。同3位以下からの優勝は07年の鹿島(3位)、14年のG大阪(8位)の2チーム。