堅守復活へ、光が見えてきた。ベガルタ仙台はジュビロ磐田に0-0で引き分けた。試合の主導権は握られたが、守備意識を高めて、7試合ぶりに無失点で切り抜けた。半面、攻撃面では数少ない好機を生かせず無得点に終わり、課題も残った。それでも、歌手松崎しげる(67)が来場した試合は「不敗」の神話は継続した。

 渡辺晋監督(43)は「間違いなく我々のゲームではなかった」と認めた。打たれたシュートは15本。仙台は試合を通して6本に終わった。それでも、守備ブロックを組んで、DF裏への抜けだしやカウンターを仕掛ける相手の猛攻を封じた後半には、惜しいものも含め、4本放った。

 見事な後半の立ち上がりを予感させる出来事が、ハーフタイムに起きた。過去3度のライブ試合は全勝と強運の松崎しげるが代表曲「愛のメモリー」を熱唱。「ここに来たからには絶対に勝つという気持ちを込めて歌いました」という魂を込めた美声でイレブンは目覚めたのか、反撃を開始。後半4分。MF梁勇基(35)のCKに、7日に第2子となる長女が誕生したDF増嶋竜也(32)が「子どもが生まれて1発目の試合で結果を出したかった」と頭で合わせたが、外した。

 同37分には蜂須賀のクロスをクリスランが頭でたたき込んだが、相手GKが片手1本でゴールラインぎりぎりで止めた。指揮官も得点をアピールしたが、認められなかった。クリスランは審判に詰め寄り、一時騒然となった。惜しいところまで行くも、ゴールまであと1歩及ばなかった。

 ただ、ブロックを組んで守備を意識した分、チャンスそのものが少なくなってしまった。主将のMF富田晋伍(31)は「ブロックを組んで、我慢しながら粘り強く守った」と久しぶりの無失点に一安心した。それでも、「低い位置から攻撃を仕掛けるのはなかなか、体力的にはきつい」と指摘した。ここ3試合は、カウンターに苦労した一時期の姿は見受けられない。あとはいかに攻撃にスムーズに移るか。歯車がかみ合えば、さらに上に行けるはずだ。【秋吉裕介】