J3アスルクラロ沼津が、価値ある勝ち点1を積み上げた。試合終盤、相手の猛攻を受ける時間を耐え抜き、GK大西勝俉(27)を中心にゴールを死守した。無得点だったが、最近5試合で1失点の堅守を見せてのドロー。試合後は、約900キロ離れた敵地に駆けつけた沼津サポーターから前向きな言葉をかけられた。「よくやったぞ」「次は勝って(優勝を)決めようぜ」。

 優勝を争う栃木SC、ブラウブリッツ秋田の試合が1時間早い開始だった。沼津が0-0で折り返したハーフタイムには、2チームの試合が終了。だが、吉田謙監督(47)らスタッフ、選手たちも他会場の結果を知ろうとしなかった。指揮官は「目の前の相手に全力を尽くすのが我々のスタイル。『勝って帰ろう』と言って送り出しました」。最後まで勝利だけを目指した姿勢が、勝ち点1をもたらした。

 試合直後に悔しさをにじませていた選手たちも、最終節に向けて顔を上げた。引き分けたことで勝ち点では3位秋田と並んだが、得失点差で上回って2位に浮上。次戦は、ホームで勝ち点1差で追う首位栃木との直接対決を迎える。

 秋田との得失点差は14で、現実的に栃木に勝てば優勝が決まる。エースFW薗田卓馬(24)は「技術うんぬんではなく、最後は気持ちの勝負」と言い、主将のDF尾崎瑛一郎(32)も「地域の方々と1つになって優勝を勝ち取りたい」と言葉に力を込めた。J参入初年度でのリーグ制覇へ。沼津が一丸で栃木を迎え撃つ。【神谷亮磨】