湘南ベルマーレMF石川俊輝(26)が、V・ファーレン長崎との開幕戦で、プロ5年目でうれしいJ1初ゴールとなる決勝弾を決め、チームをベルマーレ平塚時代の98年3月21日にヴェルディ川崎(現J2東京ヴェルディ)に4-1で勝って以来、20年ぶりのJ1開幕戦勝利へ導いた。

 後半35分、MF秋野央樹(23)が左足でゴール左上に蹴ったFKをDFが頭で弾き、こぼれ球がバーをたたいた後、DFの肩に当たってゴール前に落ちた。石川はそこを見逃さずに詰めて、右足で冷静に押し込んだ。「ゴールライン上にボールがあったんで。僕はGKを邪魔していただけなんですけど、ボールがきたと思って…ご褒美ゴールです」。決めた次の瞬間、サポーターの待つスタンドに走ると「ハチャメチャにたたかれた…こんなに、たたかれるんだと。オオッと思ったけれど、それだけ喜んでくれた」と満面の笑みを浮かべつつ振り返った。

 14年に東洋大から当時J2の湘南に加入し、15、16年はJ1でプレーしたが、15年は15試合の出場にとどまり、16年は31試合に出場もチームはJ2に降格。J1では何も出来ていないという悔しさしかなかった。「ちゃんとシーズンを通してJ1に出られたのは16年だったですけど、今思うと、どこか浮ついていて未熟だった。何もさせてもらえない状態までいっていた。今年は自立というか、地に足を付けてプレーしようと思った。より強い気持ちを意識した」と決意を持って臨んだ開幕戦だった。

 J2で戦った17年は定位置を確保し、36試合に出場して2得点を記録も、この日はベンチスタートだった。「悔しい気持ちはあったけれど、そこで腐ったりしていたら選手として、ただただもったいない。ベンチに入れない選手のことも考えると、そんなことは言っていられない」と気持ちを切り替えた。

 J1で3シーズン、47試合で待望の初ゴールを決めたが、おごりはない。「気持ち的には大きいこと。でもこれで有頂天になるほどJ1は甘くない。それを痛感させられ知っているので、また練習から手を抜かずに1つ、1つしっかり取り組んでいかないとご褒美も回ってこない」と手綱を引き締めた。【村上幸将】