清水エスパルスはアウェーでヴィッセル神戸と対戦し、4-2で今季初勝利を挙げた。2トップの活躍で前半に2得点。一時は同点に追いつかれたが、後半27分に2020年東京オリンピック(五輪)世代DF立田悠悟(19)のプロ初ゴールで勝ち越した。その後は全員のハードワークで守りきり、ヤン・ヨンソン新監督(57)の初勝利を勝ち取った。

 雄たけびをあげながら、立田はベンチへ一目散に走った。FW北川航也(21)に抱きつくと、周りにはベンチメンバーを含めた全選手が輪を作った。2-2で迎えた後半27分、立田は右サイドを駆け上がり、MF金子翔太(22)からパスを受けた。相手DFに体を当てられ、よろめきながらもボールを運び、相手GKより前に右足でシュート。カーブがかかったボールは、ゴール左隅へ転がった。

 公式戦では、高2時代の15年9月12日高円宮杯プリンスリーグEAST大宮ユース戦(1-0)以来約2年半ぶりの得点が、形勢を逆転する勝ち越し弾。「とにかくうれしかった。ゴールを取ることはあまりないので、よく分からない感情。決めたら、一番お世話になっている航也くんのところに行こうと決めていた」と笑顔で振り返った。

 プロ1年目の努力が、実を結んだ。昨年はリーグ戦出場ゼロ。筋トレに加え、毎食ご飯をおかわりし体の基盤を作った。居残りでヘディングの特訓も重ね、持ち味の高さに強さも加わった。本職は東京五輪を目指すセンターバックだが、今季は負傷者が相次いだ右サイドバックの代役として抜てきされた。昨年の試合を何度も見直し、同じポジションのDF鎌田、MF清水の動きを頭にたたき込んだ。それでも急造のサイドバックで「みんなと同じことはできない。自分にしかできないことをやろう」と、守備面でも持ち味を発揮した。初勝利を飾った指揮官も「プレーも良く、点も決めた。監督冥利(みょうり)につきる活躍です」と目を細めた。

 この日はGK六反勇治(30)がJ1通算100試合、FW鄭大世(34)が同150試合出場を達成。その試合で、同2試合の立田が決勝弾を挙げた。若手からベテランまで1つになって戦い、1得点1アシストの北川は「先輩たちのために勝ちたいという思いも詰まっていた。チーム全員で戦い続けることが大事」。名門復活へ、勝利を重ねていく。【保坂恭子】