北海道コンサドーレ札幌が名古屋グランパスに3―0の完勝で、ホーム戦2連勝とした。1―0で迎えた後半24分、FW都倉賢(31)がオーバーヘッドで追加点。3日(日本時間4日)の欧州CLでRマドリード・FWロナルドのシュートに影響を受けた1発は、自身今季初ゴールだった。開幕から4試合控えに甘んじた悔しさを今季ホーム戦初先発でぶつけ、チームの今季最多タイ3得点の快勝に貢献した。

 都倉が左足を宙に向けて飛んだ。1点先制後、チャンスがあってもなかなか追加点を奪えなかったが、再び名古屋ゴールを揺らしたのは背番号9だった。FWジェイの左サイドからの浮いたボールに合わせてバイシクル。ゴール右に吸い込まれた。わき出すサポーターの歓声を背にほえ、右拳を握った。「勝ちたいっていう気持ちがゴールにつながった」と喜びの余韻に浸った。

 頭の片隅に残っていたシュート場面を再現した。欧州CLでのロナルドのプレーを映像で見ていた。「ああいう試合を見たことであの瞬間、あのプレーを選択できた」。ヘディングではタイミングが合わないと瞬時に見極めた。今季リーグ戦出場3試合を含め公式戦5試合でノーゴールだった点取り屋が、華麗なゴールを奪った。

 前向きな姿勢を忘れない。プロ14年目の31歳。毎年のオフは、プレー面以外でも何かを学ぼうとする。16年オフは食事や栄養、昨オフは投資について書籍などを読み、勉強した。「何でも自分の成長につながる」と語る。キャンプ中、ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)が目指す攻撃的サッカー習得に苦しみながらも「楽しい」と言ってみせた。

 今季、リーグの開幕戦でスタメンを外れた。レギュラーを争った1トップにはジェイが起用された。リーグ戦は開幕から2戦、ベンチから見つめた。ようやく初先発の機会が巡ってきたのは前節鹿島戦。攻守で奮闘し敵地で引き分けたが、決めきれない自分自身に納得できなかった。「自分に何を求められ、どう行動するのかを常に考えている」。求めていた結果をド派手なキックでたたき出した。

 都倉のシュート8本は両チームで断トツだった。決定力向上に「シュート練習します」と貪欲に話した。決して満足はしていない。【保坂果那】