Jリーグがeスポーツの大会「明治安田生命eJリーグ」を初開催した。eスポーツとはエレクトロニック・スポーツの略で、ゲームで行う対戦をスポーツ競技と位置付けるもの。日本での認知度はまだ低いが、世界で約1億人がプレーしているとされている。2022年アジア大会で正式競技となることが決まっており、オリンピックでの採用を目指す動きもある。そんな注目度急上昇の大会に、ニッカンスポーツ・コムの編集部員が挑戦。どんな大会だったのか、体験ルポをもって紹介する。

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 ゲームと聞いて黙ってはいられない。3歳の時にポケモンでゲームに目覚めた。サッカーゲームは小1からウイイレ(ウイニングイレブン。コナミから発売されているサッカーゲーム作品)をほぼ全作プレーしている。21歳の今や自他共に認めるゲーマーだ。

 予選(3月30日~4月8日に実施)にエントリーするには、ゲームの実力など一定の基準を満たす必要がある。177人が出場し、グループに分かれたトーナメントを勝ち抜いた9人が決勝ラウンドに進む。決勝ラウンドを勝ち抜くと、FIFAが主催する8月のeW杯(ワールドカップ、開催地未定)の世界予選に参加できる。高校時代は関東の強豪校サッカー部でプレーしたが全国大会には縁がなかった私だが、世界を舞台に戦える(かも知れない)のだ。

 迎えた初戦。コントローラーを手に心を落ち着けて画面に向かう。対戦相手のメンバーを見て少しびびった。私のチームには1人もいない「アイコン」と呼ばれる、サッカー界を代表するレジェンド選手が4人もいるではないか。だが、ひるむわけにはいかない。大会出場が決まってから仕事そっちのけで取り組んだ、対戦を想定したトレーニングの日々を思い返す。練習量と気持ちでは負けない。

 開始早々チャンスが訪れる。相手GKと1対1に。だがいきなりのチャンスがプレッシャーとなり手元が狂った。シュートは枠を大きく外れる。

 そこから相手の怒濤(どとう)の攻撃にさらされる。相手のレジェンド選手を止めることができない。体を当てにいってもボールを奪えない。空中戦はことごとく負ける。立て続けに3点を奪われ前半を終えた。これが世界なのか。

 後半は超攻撃的な布陣を敷いて臨む。気迫が選手に乗り移ったのか2点を返した。姿はなくとも、相手が焦っているのが画面を通じても伝わる。よし、いける。そう思った瞬間、カウンターから得点された。前掛かりの布陣が裏目に出てしまった。その後1点ずつ取り合い、3-5で試合終了のホイッスルが鳴った。

 試合時間は約20分。私の戦いはあっという間に終わりを告げた。世界への道は甘くなかった。

 この無念はきっと日本代表がロシアワールドカップ(W杯)で晴らしてくれるはず。西野ジャパンよ、後は託した。(編集部員W)