北海道コンサドーレ札幌が、試合終了間際の劇的な決勝ゴールで湘南ベルマーレを1-0で下した。

 後半46分、MF兵藤慎剛(32)からのパスをゴール前で受けたFW都倉賢(31)が、2試合連続得点をゴール左へと流し込んだ。スコアレスドローを覚悟した土壇場から、勝ち点3をゲット。ホーム3連勝で3勝2分け2敗と白星を先行させ、順位は6位まで浮上した。

 都倉が最後の最後まで粘った。日本人エースの勝負強さが光った。札幌、湘南ともに無得点のまま、試合はロスタイムに突入。その1分後だ。MF兵藤からのパスに、都倉が無我夢中で左足を振り抜いた。手前でワンバウンドしたボールをダイレクトでゴール左に流し込む。終了間際、劇的な決勝弾。2試合連続ゴールを決めてお立ち台に促されると、第一声は「今日もおいしいサッポロクラシックが飲めますね」。サポーターとともに、勝利に酔いしれた。

 ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)も歓喜の1発となった。試合後のインタビューを終えた指揮官は、野々村芳和社長(45)と抱き合い、右頬に喜びのキス。報道陣が待つ会見場に現れると「本当に疲れました。自分が試合に出たような疲れだ」と、心地よい疲労感を漂わせ「絶対にゴールを奪うんだという姿勢を見せてくれたのが、ドラマチックな試合になった」とたたえた。先発起用した都倉が、最後まで諦めずに戦ってくれたからつかんだ結果だった。

 指揮官の信頼を高めた背番号9は、キャンプから苦しみ、もがいた。新しい戦術理解に追われ「頭を使う分、疲れる」と、心身ともにぐったり。練習、回復を繰り返す毎日だった。オフで過ごすほど大好きな米ハワイキャンプも「こんなにウキウキしないハワイは初めて」と漏らすほど、追い込まれていたが、チームメートも同じと理解。練習中に好プレーを見せたり、果敢にチャレンジした選手に「スーパー」と拍手を送るのは、自らを鼓舞する意味もあった。

 日本代表を率いる西野朗新監督(63)から神戸時代に教わった「とにかく左足を振り抜け」を思い返し「西野さんは本質をついている」と、試合後はしみじみ。J1通算50勝の節目を飾る、本拠地での3連勝。「いい雰囲気をつくってくれて力を出せる」と、何よりサポーターへの感謝を忘れない。次節は14日アウェー柏戦。「また勝って帰ってきたい」と、勢いを加速させる。【保坂果那】

 ▼札幌が湘南から、J1では初白星となる勝利をつかんだ。過去の2度の対戦は98年(当時はJリーグ)で、ホーム、アウェーともにVゴールで敗れていた。J2では通算13勝9分け9敗と勝ち越している。

 ◆札幌のJ1成績 シーズン最多勝は12勝で98、17年(ともにシーズン34試合)に記録した。98年はファーストステージ4勝、セカンドステージ8勝。01年はシーズン30試合で10勝5分け15敗で、昨年もマークしたクラブ史上最高の11位だった。08、12年が最少4勝の最下位で翌年J2に降格した。