FC東京FW富樫敬真(24)は、古巣の横浜F・マリノス戦で決めた開始13秒での先制弾の感想を聞かれ「ここまで速いのは、なかなかないかも知れないですけど…本当にラッキーゴール」と言い、口元に微妙な笑いを浮かべた。

 自陣後方からのロングボールに反応したFW梶山陽平(32)が相手陣内に向かって走り、富樫も後を追った。そこにボールをはじき返そうと、ペナルティーエリアから飛び出してきた相手GKがDFと激突。そのこぼれ球が、富樫の前に転がってきた。

 富樫は「僕のゴールというよりは、ほぼカジさんのゴールだといっても過言ではない。フィフティーフィフティーのボールに、迷いなくカジさんがいってくれたおかげで自分のところにこぼれてきた。(横浜の)ハイラインの裏を突く面では、幸先良かったのかな」と梶山に感謝した。

 こぼれ球が目の前に転がってきた時の思いを聞かれると「取りあえず、落ち着こうと思った。向こうはリスクを冒してサッカーをしているので、ああいうアクシデントは少なからずあるから、みんなで狙ったゴール。何か起きそうな雰囲気はあった」と振り返った。ゴールを決めた次の瞬間は、笑みを浮かべつつも喜びを爆発させることはなかった。

 「ラッキーゴールだから、思い切り良くは喜べなかったというか…リアクションしづらいゴールだった」

 横浜から今季移籍し、J1リーグ戦6試合、ルヴァン杯は3試合に出場も無得点だった。節目の公式戦10試合目で、古巣からドラマチックなゴールを決めたが試合は引き分けた。前半28分には、右サイドをドリブルで切り裂きながら2点目を決めきれなかった。

 「勝てたら記念すべきゴールになりましたけど、2点目を決めるチャンスを決めきれず、それがこの結果になった。しっかり反省すべき点だし、これを機に、やっていきたい」。そう話し、気持ちを新たにした。【村上幸将】