湘南ベルマーレが浦和レッズを1-0で破り、ベルマーレ平塚時代の1997年7月19日以来、Jリーグで21年ぶりに勝利をつかんだ。前半30分にMF石川俊輝(26)が先制ゴールを挙げ、後半は相手の猛攻に防戦一方となったが全員でしのいだ。94年のJリーグ参入後、浦和の本拠地では初勝利。25日にはG大阪から98年以来の勝利を収めたばかりだった。

 歴史的な勝利に、曹貴裁監督は頭上に両手を何度も突き上げた。自身がかつてプレーした浦和には、12年の監督就任から1分け5敗だった。「今日、勝ったからって遠くに見えたのが近くなっただけ」。控えめな笑みを浮かべた。

 浦和にはとにかく勝てなかった。Jリーグに参戦した94年4月は福田正博に当時の1試合最多記録となる4得点を許し、1-4。同9月から中田英寿が加入した95年6月の試合まで4連勝も、中田が先発して3-2で勝ったホーム戦を最後に勝利から遠ざかった。99年には親会社フジタが経営から撤退し、J2に降格。市民クラブとして再起も資金力に乏しくJ1に10年も復帰できなかった。曹監督が就任後も主力の引き抜きが相次ぎ、今季までJ1に3度昇格も2度降格した。

 今月からフィットネスクラブ運営のRIZAP(ライザップ)グループが経営に参画。20年までのタイトル獲得宣言を受け、選手たちは過去がウソのように躍動した。前半30分、DF山根のスルーパスをMFミキッチが鋭く折り返し、石川が決める流れるような攻めで先制。後半はシュート数で6対13の数字以上に打ちまくられながら耐えた。曹監督は「体に当てていく、らしい泥臭さもあった。絶対勝ちたい気持ちが出て成長した」とたたえた。

 ダンスを踊る選手を祝福するサポーターの合唱が敵地にこだました。山根が「埼スタで戦うことが楽しく、本来の姿を見せ無失点で勝てた」と胸を張れば、自らのゴールで歴史を刻んだ石川は「純粋にうれしい」と笑みを浮かべた。【村上幸将】

 ◆湘南の浦和戦 湘南が浦和に勝ったのは、ホームの平塚(現BMWス)で行われた97年7月19日以来、21年ぶり。当時のチーム名はベルマーレ平塚だった。過去のJ1、J2リーグ戦の通算対戦成績は6勝1分け21敗で、アウェーに限れば2勝12敗。その2勝は大宮(現NACK)で記録したもので、今回のように浦和の本拠地で勝ったのは、94年のJリーグ参入後初。