浦和レッズが敵地で川崎フロンターレに2-0で勝ち、オズワルド・オリベイラ監督(67)が就任3戦目で初白星を手にした。鹿島アントラーズ時代、監督と師弟関係だったFW興梠慎三(31)が前半15分に先制点を決めるなど、2得点で貢献した。昨季リーグ優勝の難敵を退けて勝ち点3を手にし、浮上のきっかけをつかんだ。

 自分が決めると興梠は心に決めていた。前半15分、左サイドを突破口に、DF宇賀神からクロスが上がる。ショートバウンドした難しいボールを、利き足ではない左足でダイレクトゴール。右隅へ突き刺した。オリベイラ体制下での初ゴールは、指揮官が鹿島を率いてリーグ3連覇を達成したときの主力だった男から生まれた。後半5分にもナバウトの右クロスに滑り込みながら合わせて2点目。「監督が来てファーストゴールは取りたかった」と、うれしそうに笑った。

 鹿島時代、興梠を抜てきしたのがオリベイラ監督だった。07年に鹿島監督に就任した際、当時21歳の興梠は「チームで7番手のFWだった」(指揮官)という。身長175センチと上背はないが、抜群の身体能力を生かした得点力とキープ力はオリベイラ監督によって生かされた。06年はリーグ戦出場が10試合だったが、07年は22試合と倍増。Jリーグで活躍の場を与えられた。この日の2得点で通算126得点とし、得点ランクは歴代単独7位に浮上した。

 出会って10年。鹿島を離れてから7年ぶりに日本に戻った指揮官は、31歳になった愛弟子に「彼の能力にかけてよかった。彼が重要な選手になっていく姿はうれしい」と頬をゆるめた。ふたたびタッグを組んでタイトルを目指す興梠は「監督がやっていることが間違っていないことを証明するためにも勝ちたかった。勝てて良かった」とかみしめた。

 首位広島とは大きな勝ち点差があるが、リーグ優勝という目標が揺らぐことはない。「オリベイラ監督は必ずチームを上位に持っていく人。みんなで信じていけば、結果はついてくる」と力を込めた。昨季王者からシュート3本で2点を奪ったエースが力強くチームをけん引する。【岡崎悠利】