「7」から「8」で再び「7」…。

 背番号「8」でピッチに立ったヴィッセル神戸MF三田啓貴(27)が貴重な先制点を決めた。

 前半25分、味方からのパスを受けると、狙いすまして約20メートルの右足ミドルシュート。大学生相手の難しい試合で、チームにゆとりをもたらし「瞬間的に打てた」と柔らかな表情を見せた。

 中盤の軸として奮闘する一方、これまでのサッカー人生にない経験もした。クラブは5月にスペイン代表MFイニエスタを獲得。同選手は背番号「8」が代名詞だ。それまでJリーグではシーズン中の背番号変更を認めていなかったが、世界的スター獲得の後押しもあって、同30日に「Jリーグユニホーム要項」を改訂。三田は背番号「8」をイニエスタに譲り、6月2日のルヴァン杯プレーオフ第1戦横浜戦で新背番号「7」を初披露していた。

 ところが今大会はJリーグ同様に主催は日本サッカー協会(JFA)とJリーグだが、主管が都道府県サッカー協会となるなど運営面で勝手が違う。三田は中3日での背番号変更となり、大会前に登録されていた従来の「8」を背負った。さらに3日後の9日は、ルヴァン杯プレーオフ第2戦。ここでは新背番号「7」となる。これほどまでに短期間の背番号変更について「今まではなかったですね」と記憶をたどりながら「新鮮なことですが、ピッチに立ってプレーするだけ。背番号は関係ないです」と頼もしく言い切った。

 天皇杯における今後の変更可否については、クラブと主催者側で詰めることになりそうだが、現時点では未定という。そんな「イニエスタ電撃加入余波」がありながらも、落ち着いた試合運びできっちりと初戦突破。吉田孝行監督(41)も「(大学生相手で)難しい部分があるけれど、しっかりと勝ってくれた。何とか(第1戦を2-4で落とした)ルヴァン杯で2点差以上で勝ちたい」と、本拠地で戦う横浜との同杯第2戦を見据えた。