千葉県代表の関東リーグ1部VONDS市原FCのゼムノビッチ監督(64)は、1ゴール3アシストと6ゴール中4発に絡んだ、J1柏レイソルFW伊東純也(25)に脱帽した。会見では「本当に、彼は、こっち(日本)じゃなく、ロシアにいるかな? と思った。行った方がいいかなと思った」と、ワールドカップ・ロシア大会のメンバーに入っていても、おかしくないレベルだと強調した。

 スピードを警戒していた伊東に、開始14秒でボールを奪われて左サイドを切り裂かれると、1度はGKがシュートを止めたが、ゴール前の混戦の中、こぼれ球を開始23秒で決められた。「彼のスピードは、武器だと分かっていても(止めるのは)無理ですね。後ろを下げることも出来るが、同じ瞬間で動きだしても逃げちゃうから…今日は特別に彼が良かった。本当に、すばらしい」と賛辞の言葉を繰り返した。

 18年は、千葉県予選決勝でブリオベッカ浦安に1-0で勝ち、1回戦ではJ3のブラウブリッツ秋田に1-0で勝った天皇杯と、関東1部リーグを合わせた公式戦で11連勝中だったが、12戦目で初黒星を喫した。6失点無得点と大敗だったが「J1と公式戦を出来たのは光栄。チームと選手にとって、いい経験になった。ゲームに対して、はっきり関東リーグとJ1の差が出た。(柏は)スピードがあった。うちが、いくら頑張ってもスピードがついていけず、やられた。でも前半、うちもいいチャンスをつくって、皆さんが見ていて面白いサッカーが出来た」と前向きに振り返った。

 17年はJFL(4部相当)を目指して全国地域サッカーチャンピオンズリーグを戦ったが、3位で昇格を逃した。悲願のJFL昇格に向け、ゼムノビッチ監督は、柏戦が大きな意味を持つことを強調。「うちの目的は天皇杯優勝じゃないし、出来るわけもない。10年間の中で1回、起きるかも知れないけどJ1に勝てるものじゃないし、勝つなんて、誰も思わないだろう。でもJ1の高いレベルのチームに、これだけチャンスを作った。大きな自信になるし、すばらしい経験。うちにとって絶対、マイナスの経験ではない」と今後につなげる覚悟を示した。【村上幸将】