ヴィッセル神戸に新加入したスペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(34)がJリーグデビューを果たした。

 0-2で迎えた後半14分に途中交代で出場。推定年俸32億5000万円の世界的スターがピッチに立つと、場内は大きな拍手に包まれた。

 初見参から、数プレー後に訪れたファーストタッチでは、蜂の巣をつついたような大歓声。イニエスタは主に中盤の左からパスを散らし、攻撃のかじ取り役となった。後半34分には左サイドでFKのキッカーとなったが、チャンスにはつなげられない。同44分には右CKから左足のボレーシュートを放つも、枠はとらえられなかった。

 スペイン代表の主力として、10年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で優勝に貢献したイニエスタは、6月に開幕したワールドカップ(W杯)ロシア大会にも出場。決勝トーナメント1回戦でロシアに屈し、約2週間の休養を経ただけで、18日に来日した。

 20日にはチーム練習に合流。記録的猛暑の中「暑い」との日本語を覚えたと笑わせながら、「ベストな状態で出られるようにしていきたい」と意気込んでいた。

 21日の練習後には吉田孝行監督が「どこかのタイミングで使う。彼の力が必要。ただ、お祭りで使うつもりはない。やはり超一流のすごい選手」と言い、この日の起用を明言していた。

 5月24日に都内で行われた入団記者会見では、三木谷会長が「最も美しいプレーをし世界中で尊敬される選手が入る。Jが世界の人が見たいリーグになる」と発言。その後も一挙手一投足がサッカーファンだけでなく、多くの関心を集めている。

 勝利にはつながらなかったものの、本拠地ノエスタでデビューを飾ったイニエスタが、日本サッカー界においても歴史的な第1歩を踏み出した。

 

 ◆アンドレス・イニエスタ 1984年5月11日、スペイン・アルバセテ生まれ。12歳からバルセロナの下部組織に入り、02年プロデビュー。17-18年シーズンはリーグ優勝とスペイン国王杯4連覇を経験し、W杯は06年から4大会連続出場。10年南アフリカ大会のオランダとの決勝で、初優勝に導く延長での決勝点を挙げた。08、12年欧州選手権優勝。171センチ、68キロ。