2位FC東京が、鹿島アントラーズから初のリーグ年間2勝を挙げた。前半に1点を先行されたが、FW富樫敬真(24)とFWリンス(30)の、ともに移籍後初ゴールで逆転勝ち。ホームで勝った4月11日の対戦時も0-1から逆転で勝ち点3を手にしており、天敵だった鹿島から今季は2回の「2-1」で大きな勝ち点6を積み上げた。

 富樫は、前半19分に同点弾を決めた。右サイドバック室屋のグラウンダーのクロスにダイレクトで右足を合わせ、ゴール左へ。まさかりのように右腕を振り下ろして喜びを爆発させた。私生活も仲のいいリオデジャネイロ五輪世代の2人によるゴール。室屋が「目が合った。1歳上ですけど同い年のような先輩の初得点をアシストできて良かった」と言えば、富樫も「自分が中に入ったところを見てくれていた。時間はかかってしまったけど、ようやく初ゴールを決められた。次も決めないと、たまたまと言われる。決め続けて仲間の信頼を集めたい」と目尻を下げた。

 決勝点は「仕上げのリンス」の異名を取るリンスが奪った。後半30分、FW永井とともに同時投入されると、2分後に結果を出す。長谷川監督から「2人で試合を決めてこい」と送り出され、永井が右サイドを破ってパスを出し、リンスが左足で合わせて勝ち越し弾を押し込んだ。指揮官も「やっと仕上げてくれた」とご満悦。試合終了と同時に右拳を振って喜んだ。

 リンスも「試合前(永井と)ニアで合わせる約束をしていた」と明かし、納得の表情。ガンバ大阪時代もカシマスタジアムで決勝点を奪ったことがあった。14年10月5日、2-2で迎えた後半ロスタイムに劇的な決勝弾をたたき込み、当時長谷川監督のG大阪は勢いを増して優勝した。「監督も、あの日のことを覚えていたのかもしれない」とリンスは笑顔を見せ「これからも1試合1試合、先発でもベンチスタートでもチームのために戦っていきたい」と殊勝に話した。

 後半30分以降の得点も今季初。2トップ「2枚代え」の采配がピタリ当たった長谷川監督は「前半から富樫とディエゴ・オリヴェイラの先発2トップが激しく仕掛けてくれて、相手のセンターバックが疲弊していた。そこで入れた永井とリンスが仕事をしてくれた」と高く評価。前節、V・ファーレン長崎相手に10試合ぶりの黒星を喫した後の大きな逆転勝利に「あの敗戦から立ち直り、よく戦ってくれた」。手応えある逆転勝利で、首位サンフレッチェ広島と勝ち点7差の2位をキープ。東京に上昇気配が漂っている。【木下淳】