湘南ベルマーレの曹貴裁監督(49)は、柏レイソルに快勝した後の監督会見で「いいとか悪いとかじゃなくて、本当にすごくなってきたな」とチームの手応えを口にした。

 この日は、J2徳島ヴォルティスから7月に完全移籍で加入したFW山崎凌吾(25)が前半2分、DF杉岡大暉(19)がペナルティーエリア左から放ったシュートをGKが弾いたこぼれ球を、右足で押し込んで幸先よく先制した。シュート数こそ11対16と下回ったものの、大事な局面では柏を終始、個の力で上回り、後半37分には山崎がペナルティーエリア右でDFパク・ジョンスに倒されて獲得したPKを同38分、自ら左足でゴール左に決めた。

 7月28日に台風12号の影響で川崎フロンターレ戦が延期となったことを受け、曹監督は「ゲーム勘も含めて難しい感じもあったんですけど、延期じゃなくて、川崎Fに負けたつもりで悔しさを持って試合に入っていこう」と柏戦へ選手を送り出したと説明した。

 その上で「自分のチームを監督として話すのは難しい気持ちもありますけど、失敗が失敗にならない。すき間が空いていたら、みんなで埋めて大きな失敗にならないということが攻守に出来ていた」と評価。「走らされるのじゃなく、自分から味方のために走るというのが研ぎ澄まされて、全く安心して見られた。マッチアップした個に負けるなと話したら、点を取った形も(杉岡)大暉が仕掛けていいボールを上げた。山崎が最後、こぼれ球を仕掛けたところでPKを漏れたのを含め、前方向の矢印(の動き)が、たくさんあった。この暑さ、この気候で誰を使っても、そうなれた。いいとか悪いとかじゃなくて、本当にすごくなってきたなと思う」とたたえた。

 曹監督は「スタイルを自分たちで決めた瞬間に、防ごうとする敵なり、条件なりが重なった時に、スタイルが出せなくて負ける…我々はそういうチームだった。僕も7年やる中で、小学校から中学校レベルくらいまでは考えられるようになった」と監督として自らも成長したと口にした。

 また「付け加えます」と言い、4戦ぶりに先発し、中盤で攻守に奮闘した、MF石川俊輝をMVPに挙げた。「出場機会が少ない中、いつも残って練習をして、人よりたくさんシュート練習もしていた。悔しい気持ちを、ずっと見ていた。ああいう選手が結果を出してくれると、監督としても非常にうれしいですし、出られなかった選手にも勇気を与えた」と絶賛した。【村上幸将】