ロアッソ熊本FW安柄俊(28)が、アウェーの東京ヴェルディ戦で先制ゴールを含む全2得点に絡む活躍を見せた。

安は前半7分、ペナルティーエリア前で東京VのMF梶川諒太が出した強いパスを内田達也がトラップミスしたこぼれ球を拾うと、思い切りよく右足を振り抜いた。強烈なシュートは、GK上福元直人のキャッチミスを誘い、手の下をくぐり抜けてゴールに入った。「開始から間もなかったのもあるんで、思い切って打ってみようと思ったけれど…あまりいいシュートがいかなかったですけど、運が良かったと思います」と謙遜した。その後、記者達に囲まれて「いいシュートでしたね」と言われても「あんまり、いいシュートではなかったんで」と苦笑した。

その後、東京Vに前半13分、後半24分にゴールを決められ、逆転されたが、安は諦めなかった。迎えた後半33分、ペナルティーエリア右手前で強引に放ったシュートが、目前のDFに当たってこぼれ、そのボールを拾ったMF田中達也(26)がDFを振り切り、右足でゴール右隅に決めた。安の思い切りの良い姿勢が、2得点を生んだ。

安は「たまたま今回、入ったのもあると思うんで。2点目も達也のところに運良く、転がった感じなので、本当に運が良かっただけ。運です、運…ラッキーゴール」と再び運を強調した。その中「安選手のFWらしいゴールへの姿勢が、2得点を生んだのでは?」と聞かれると「チームとして、リードされても諦めなかったのが大きいし、ああいうのにつながった」とチームで挙げた2ゴールだと強調した。

熊本は、勝てば自動降格圏脱出の可能性もあった中で引き分けたが、連敗は3で止めた。20位の京都サンガとの勝ち点差は1のままだが、最下位カマタマーレ讃岐との勝ち点差を2に広げた。今季、リーグ戦30試合目の出場で節目の10得点目を決めた、安の活躍がチームを踏みとどまらせた。安は「(2ケタ得点は)素直にうれしい気持ちもありますけど、あと9試合ある中で、今のチーム状況を考えると1試合、1試合が大事になってくる。本当に1試合も落とさないつもりで、ゴールなりアシストなりで貢献したい」と気を引き締めた。【村上幸将】