昨季王者の川崎フロンターレが、エースFW小林悠(31)の1得点1アシストでV・ファーレン長崎に競り勝ち、3月以来の首位に立った。

サンフレッチェ広島と勝ち点で並び、得失点差で上回った。小林は引き分けた26日の湘南ベルマーレ戦でPKを失敗。中2日で気持ちを切り替えて臨み前半35分、右CKをヘディングでそらし先制点をお膳立てすると、同41分にMF家長のシュートのこぼれ球に詰め、リードを広げた。視察した日本代表の森保一監督の前で健在ぶりをアピール。チームも連覇へ勢いに乗ってきた。

湘南戦から中2日のハード日程を乗り越え、川崎Fがついに首位に立った。決めたのはエース小林だった。湘南戦で同じく決定機を外したFW知念と2トップでの先発を鬼木監督から託され「お前らが点を取ってこい、とのメッセージと思った」。前半35分、MF中村の右CKをヘディングでそらして知念の得点をアシストすると、同41分にMF家長のシュートのこぼれ球を押し込んだ。

試合前、ミーティングで指揮官から広島が敗れた結果を伝えられていた。「自分にプレッシャーかけて、勝てば首位だと試合に臨んだ。結果にこだわってやりたいと。僕と知念が決めて勝てたので大きかった」と喜びを口にした。

湘南戦では0-0で迎えた後半40分、自ら得たPKを失敗した。得点でチームを勝たせることを課しているエースは、センターバックのDF谷口と奈良から試合直後すぐに「下を向くな」と声をかけられた。FWとDF。互いに勝敗に直結するポジションだけに、励まされた。外したその日だけは、そのシーンを見直し、自らを責めて悔しさをかみしめていたが「翌日からはしっかり気持ちを切り替えていた」。一喜一憂しない、FWらしい強靱(きょうじん)なメンタルでエースで主将の仕事を遂げた。

5月に最大13差をつけられた広島と勝ち点で並んだ。昨季、首位に立ったのは最終節だったが、今季は残り6試合。小林は「前回チャンピオンのプライドを見せないといけないし、渡したくない場所。これからも、すきをつくらずに目の前の試合で無心に勝ち点を取ることだけを考えてやりたい」。過酷な日程と悪天候を乗り越えた川崎Fが、連覇ロードへラストスパートに入った。【岩田千代巳】