失速していたFC東京が9試合ぶりに勝った。0-0の後半20分、FWディエゴ・オリヴェイラが右サイドを上がってゴール前へマイナスのパス。3試合ぶり先発のMF大森が勢い良く走り込み、右足で決めて先制した。

今季、ヴィッセル神戸から加入した大森にとって移籍後初ゴール。「うれしいです。いつか決まるとは思っていたけど。みんなからは『やっと東京の一員になれたな』と声をかけられました」と、出場27試合目の1発に安堵(あんど)の笑みをこぼした。

その3分後には元名古屋のFW永井が追加点を挙げた。MF高萩のロングパスに反応しゴールへ一気に迫ると、相対したDF中谷をかわして左足シュートをたたき込んだ。18試合ぶりの今季5点目で、前回ゴールしたのも4月28日の同じ名古屋戦だった。古巣への恩返し弾。試合後の取材エリアでは「今日は話せません。申し訳ないので、去った身としては」とプロ入りしたクラブに敬意を示した上で「東京として、まず(9戦ぶりに)勝てたことは大きい。今週はすごく厳しい練習をしてきたし、得意な形ではなかったけど、フィーリングが良かったので決められた」と納得した。

ぬかるみから抜け出した長谷川監督も「今日は言うことなし。選手がよく戦ってくれて東京らしいゴールも生まれた」と評価。前節まで8戦勝ちなしで5位に後退し「自分の至らなさ。本当にサポーターに申し訳なかったけど、今日を浮上の糸口、きっかけにしたいと思っていた。勝利を届けられて良かった」と目尻を下げた。

後半ロスタイムに失点したことで、勝ち点と得失点差で並ぶ3位鹿島アントラーズに総得点で及ばず、4位となった。それでも指揮官は「順位は1つ上がったし、残り5試合、しっかりACLに出場できる3位以内を目指したい」と、久々の笑顔でスタジアムを後にした。