J2アルビレックス新潟は第38節京都サンガ戦を翌日に控えた19日、クラブハウス隣接のピッチで練習して敵地に乗り込んだ。チームは第31節愛媛戦の引き分けから7戦不敗の5勝2分。DF渡辺泰基(19)は左サイドバックとして、勝利に向かってひた向きにピッチを上下動するつもりだ。

京都戦前の総仕上げは、変化をつけたクロスからのシュート練習だった。左サイドからクロスを放っていた渡辺泰は、質のいいボールを何度も供給した。ニアに走ったFWターレス(23)には、低い弾道のクロス。左足のダイレクトゴールにつなげた。FW矢野貴章(34)の頭には、ピンポイントで合わせた。「勝ち点3を取るため、体を張る。攻撃ではクロスや仕掛けでアクセントを加えたい」。チームでただ1人の10代選手は勝利だけを見つめた。

渡辺泰は小学3年から新潟ジュニアでサッカーに取り組み、中学年代は新潟U-15に所属した。高校は前橋育英(群馬)に進学し、昨年度の全国高校選手権優勝に貢献。高校の3年間は新潟の地を離れたが、小さいころからアルビ・スピリットが全身に染み込んでいる。「新潟は粘り強く戦う。攻守とも、気持ちが伝わってくるようなプレーをすると、昔から感じていた」。そんなプレーを高卒ルーキーは、京都戦のピッチで体現する。

高卒ルーキーのプロデビューは3月14日のルヴァンカップ東京戦。リーグ戦デビューは6月19日の第19節福岡戦の先発だった。現時点でリーグ17試合に先発出場。「落ち着いている。1対1にも強い」と渡辺泰のプレーを買っている片渕浩一郎監督(43)は「20年東京オリンピック(五輪)を狙ってもらいたい」とも、期待した。「監督からは、積極的にオーバーラップしていい、と言われている。先発するからには責任を持って戦いたい」。渡辺泰が京都戦の左サイドを駆け上がる。【涌井幹雄】