全日本女子サッカー選手権でアルビレックス新潟レディースは、2回戦の岡山湯郷(なでしこ2部)戦で初戦を迎える。キックオフは新潟市陸上競技場、24日の午後2時。過去4度、決勝進出(11、13、15、16年)している相性のいい大会で、今度こそ優勝を狙う。なでしこジャパンのMF阪口萌乃(26)が中盤で勝利に向かってハンドルを切る。

MF阪口の表情が、みるみる引き締まった。「優勝には、何度も届きそうで届かなかった。本当に悔しい思いをしてきた」と、過去の全日本女子選手権決勝を振り返ったときだった。13年に新潟加入以来、3度の決勝敗退を経験した。INAC神戸との16年の決勝は0-0のPK4-5。PK戦2人目のキッカーとして臨んだ阪口はゴールを割れなかった。「決勝で勝つためにも、初戦が大事になる」。味わった悔しさを2年ぶりに晴らすためにも、岡山湯郷との初戦から突っ走る。

リーグ戦は今季、8勝3分け7敗の5位だった。阪口は全18試合に先発し、5得点。主にトップ下でプレーした。バランスを取りながら相手の嫌がるスペースに走り込むのが真骨頂だ。決定的なシーンのチャンスメーカーになり、ゴールゲッターにもなれるのも持ち味。「ミスを少なく、ボールを奪われない」と大胆の中にも細心にプレーする。

個人的には今季、充実した1年を過ごした。なでしこジャパンに初選出され、6月のトーナメント・オブ・ネーションズ(米国)のアメリカ戦では代表初ゴール。アジア大会(8~9月=インドネシア)では金メダルを獲得し、なでしこリーグのベストイレブンにも初選出された。「チームと代表の試合でタフなシーズンになったけれど、1年を通じて、しっかりサッカーができた」。メンタルとフィジカル双方にタフさを身につけ、今季最後の大会で優勝を狙う。

指揮を執ってきた山崎真監督(48)が今季限りで退く。「山さん(山崎監督)のためにも勝ちたい、という気持ちはある」と阪口は言う。そんな思いを込めて臨む全日本女子選手権のピッチ。なでしこジャパンに定着した阪口にとって、大会は今季の総決算になる。【涌井幹雄】

◆阪口萌乃(さかぐち・もえの)1992年(平4)6月4日生まれ。神奈川県出身。藤枝順心-武蔵丘短大。新潟は6年目。ポジションはMF。なでしこジャパンでは主に左サイドバックを務めた。利き足は右。157センチ、50キロ。血液型O。