今季のデータを独自の視点で分析して各賞を選出する、毎年恒例「ニッカン・フットボール・アウォーズ」を今日から3回にわたって連載します。第1回はJ1編。北海道コンサドーレ札幌FW都倉賢(32)が「後半ロスタイム得点王」に輝きました。後半ロスタイムに限った得点数はJ1シーズン最多となる5点。試合終了間際の勝負強さが際立ちました。

都倉は後半ロスタイムだけで5得点を挙げた。正規の時間外に年間5ゴールはJ1史上最多で、13年のFW大迫ら昨年まで過去6人がマークした3点を塗り替えた。ロスタイム弾5点のうち、先制点を含めた勝ち越し点が3、同点が1。試合終了間際の劇的なゴールで、チームは「勝ち点7」を上積みした。

今季の12ゴールはすべて試合の後半に記録。得点ランキングでは9位だったが、後半45分間の得点数に限れば、得点王に輝いた名古屋グランパスFWジョー(16点)に次ぐ単独2位に浮上する。お互いに疲れの見えた試合終盤に勝負強さを発揮し、チームの1点差勝ちも今季最多の11試合を数えた。

8月15日のガンバ大阪戦では後半ロスタイム5分に右からのクロスを高い打点のヘッドで値千金の同点弾。そこからクラブの日本人では初の4試合連続ゴールを達成した。187センチの高さを武器に、敵陣ペナルティーエリア内での空中戦で31勝9敗を大きく勝ち越し。勝率77・5%は今季のJ1で最高だった(20戦以上)。

その高さがあるから、チームのサイド攻撃も効果を発揮。クロス成功率はリーグ1位の29・1%に達した。日本代表を目指し続ける32歳FWが、クラブ史上最高となる4位躍進の原動力になった。【石川秀和】

◆後半ロスタイム弾 Jリーグでは10年からロスタイムの時間を表記するようになったため、記録もそれ以降に限られる。93~09年までは後半ロスタイムの得点は後半44分と表記され、正規の時間内のゴールと区別されていなかった。「後半44分弾」の過去最多は、今季の都倉の後半ロスタイム弾と同じく、05年のG大阪FWアラウージョが記録した5点となっている。

※一部の数字は「データスタジアム」を参考