12月下旬。「高校サッカーの申し子」元日本代表FW平山相太氏(33)は、大阪のJグリーン堺で子どもたちのプレーに目を細めていた。「選手権の季節ですね」-。

全国高校サッカー選手権(30日開幕)の平成時代を振り返る連載「HEY!SAY!サッカー選手権」。第4回は平成13年度(01年度)の第80回大会から3年間で、国見(長崎)を優勝2回、準優勝1回に導いた、平成時代を代表するストライカーの登場だ。

平山氏はあの輝かしい3年間について「小学生の時から憧れていた舞台。1年から出してもらいましたが、実際は夢よりも勝たなきゃいけない。優勝は国見に課された宿命。優勝という目標に全員で突き進んだ結果が、個人の記録につながった」と振り返った。

小嶺忠敏監督(現長崎総合科学大付監督)の練習の厳しさは有名で、「入学して3日で逃げだそうと思った」と言うほどだった。国見が掲げていたのが「90分オールコートプレス」。大会は試合日程も厳しく、克服する体力が必要だった。それを理解して、地獄の走り込みに耐え抜いた。その結果、大会通算17得点で、史上初の2大会連続得点王に輝いた。

今大会に出場する選手たちへ「高校でしかできない瞬間がある。全力でプレーすることで楽しんでほしい。勝負事ではあるが『持っている力を発揮できなかった』が一番後悔する」とエールを送った。

自身は今年1月に現役を引退。指導者を目指して仙台大に通う。プロチームの監督が目標だが、高校での指導も夢の選択肢にある。近い将来、怪物が戻ってくるかもしれない。【実藤健一】

◆平山相太(ひらやま・そうた)1985年(昭60)6月6日、福岡県生まれ。国見で1年から高校選手権に出場。01年度から優勝→準優勝→優勝と黄金期をけん引。02、03年度と連続得点王に輝き、大会通算17得点は歴代最多。筑波大からオランダ1部ヘラクレス。06年からFC東京、17年ベガルタ仙台移籍。今年1月に現役引退を表明、J1通算168試合33得点。04年アテネ・オリンピック(五輪)代表、日本代表は4試合3得点。190センチ、85キロ。