日本フットボールリーグ(JFL)の鈴鹿アンリミテッドは9日、トップチームの監督にスペイン人女性のミラグロス・マルティネス・ドミンゲス氏(33)が就任すると発表した。21年目を迎えるJFL(4部リーグ相当)およびJ1、J2、J3において、女性が監督を務めるのは史上初。同監督は14日に来日し、22日から指導する。1年契約で推定年俸は500万円。鈴鹿が、日本男子サッカー界史上初の女性監督の下、三重県初のJリーグ入りを目指す。

始まりはGoogle(グーグル)検索からだった。「女性監督で戦ってみよう」と、クラブ内で意見がまとまったのは昨年12月中旬。まずは「サッカー 女性 監督」で検索した。パソコン画面には多くの名前が挙がったが、絞りきれなかった。結局、スペイン在住で同国3部女子チームを指揮した経験があるJリーグ理事の佐伯夕利子氏に連絡を取った。

「来季は女性監督でいきたい。スペインで実績のある女性監督を推薦してください」とメールした。何日もたたないうちに、佐伯理事からリストアップされた4人の名簿が届いた。4人全員にメールで連絡し、監督就任の意向や意欲などを聞いた。「海外で挑戦したい気持ちが強い。私のことをミラと呼んでね」と、4人の中で最も積極的かつ実績があるミラグロス氏に白羽の矢を立てた。

契約はとんとん拍子で進んだ。初コンタクトから3週間もたたないうちに、メールのPDFファイルなどで、すでに契約書にサインをもらった。推定年俸は500万円で1年契約。ミラグロス監督はクラブを通じて「女性に男子チームを率いる機会をくれたことに感謝しています」とコメントした。

鈴鹿は、同監督が13-14年シーズンの2部だったアルバセテ・バロンピエ女子チームを1年で1部に押し上げた実績があることは把握している。それ以上の詳しい情報は取得できていない。クラブ関係者は「昨季の2試合分のファイルはミラさんに送って、見ていただいています。ミラさんがどんな戦術を持っているかはまだ把握してませんが、うちは堅守のチームなので、そこにミラさんの経験を加えていただきたい」と話した。

同監督は14日に来日し、22日には全選手と顔合わせし、指導する。この日午前、初めて選手に女性監督就任を伝えた。驚きの声が多かったが、違和感を口にする選手はいなかったという。スペイン人の女性監督をできる限りバックアップするため、セキュリティー重視のマンションを中心に住居を物色中。初の女性監督でJFLを驚かせるか? 鈴鹿のチャレンジが始まった。【盧載鎭】

◆鈴鹿アンリミテッドFC 09年からFC鈴鹿ランポーレとして活動し、16年から運営体制の変更と商標権の都合により、現チーム名に改称。東海社会人リーグの代表として、昨年11月の全国地域サッカーチャンピオンズリーグに出場し、2位でJFL昇格を決めた。ホームタウンは三重県鈴鹿市。本拠地はAGF鈴鹿陸上競技場。