J1ベガルタ仙台の生え抜きMF蜂須賀孝治(28)が、10日のホーム神戸戦でジャイアントキリングを成し遂げる。

9日は仙台市紫山サッカー場で非公開で最終調整した。蜂須賀は右ウイングバックで先発出場が濃厚。東日本大震災から8年となる「復興マッチ」で、泥臭いサッカーを展開し、スター軍団を封じ込める覚悟を示した。

Jリーグが18年に開示したクラブ人件費(17年度)は神戸の32億円に対し、仙台は11億円。神戸には年俸32億円超といわれるMFアンドレス・イニエスタ(34)らが加わり、さらに格差は広がった。チケット完売となった復興応援試合は、リーグトップを誇るビッグクラブに、リーグ最下位クラスのプロビンチャ(地方の小規模クラブ)が挑む構図だ。

蜂須賀 サッカーをやっていて、一番面白いのはジャイアントキリング(大番狂わせ)だと思います。スター選手がたくさんいて、神戸はクラブの規模でも総年俸でも、ベガルタの何倍あるか分かりません。ただ、サッカーは年俸で勝敗が決するスポーツじゃない。泥臭く、はいつくばってでもゴールを守って、どんな地味なゴールでもいいから1点をもぎ取る。たとえ格好悪いサッカーと思われても、勝つ姿だけはサポーターに見せたい。

東日本大震災発生時は仙台大サッカー部の2年生で、練習試合中に被災した。住んでいたアパートは激しく漏水して生活困難となり、暖房が止まったクラブハウスに5日間、チームメートと食料を持ち寄って過ごした経験を持つ。それだけに、この日を迎える思いも強い。

蜂須賀 当時を振り返ると想像もできませんでしたが、被災地のチームに在籍していろいろな経験を経て、こうして試合を迎えられることに感謝しながらプレーしたい。割り切って相手にボールを持たせたり、ゼロに抑えれば負けないということを念頭に置いて、みんなでサポートし合いながら戦いたい。

堅い絆でスター軍団を打ち負かす。【下田雄一】