モンテディオ山形が逆転勝ちで東京ヴェルディを2-1で撃破し、5位から7年ぶりの首位に浮上した。3バックの一角、DF熊本雄太(23)が意外性の2アシスト。0-1で迎えた後半、ルーキーFW坂元達裕(22)の同点ゴールを演出すると、終了間際には途中出場したFW大槻周平(29)の移籍初ゴールとなる勝ち越し弾をアシストした。守備職人が攻守で輝きを放ち、今季2度目の2連勝で7戦負けなしだ!

90分間、精力的に走り回った熊本が勝利への執念も見せ、持てる力を振り絞った。後半45分、センターサークル付近でボールを奪うと、MF三鬼海(25)とのパス交換でインナーラップ。約60メートルを激走して右サイド深くに侵入すると、右足クロスで決勝ゴールをアシストした。ヘディングでゴールを仕留めたFW大槻は「熊があそこまで上がってくれた。あの時間帯で3バックの選手があそこまで走るのはなかなかできない」と、土壇場でロングランを見せたディフェンダーをたたえた。

熊本 最後の最後できつかったですが、僕が走って追い越して行くことによって、味方の人数も増えるし相手を惑わすこともできる。おとりになるつもりでしたが、スペースにボールが入って顔を上げたら周平さんが見えたので、いい感じでクロスを蹴ることができました。ホームで勝ち点3を取ることは大事なことなので。

同点ゴールを演出したのも熊本の右足だった。「監督から背後のパスを増やしていこうと指示があった。顔を上げた瞬間、タツが走り込んでいたので、狙ったらいいボールを入れることができました」。中央付近から縦パスを入れ、FW坂元のゴールにつなげた。

この日はヴァンフォーレ甲府など上位4チームがすべて引き分け、勝ち点3の山形が今季初めて首位に。J2で首位に立つのは、12年6月24日の第21節以来だ。最終ラインの思わぬ奮闘に、木山隆之監督(47)は「勝っていればリスクを負う必要はないが、ホームでは引き分けで終わらず勝つことを目指しているので、1-1でも上がるべき。実際に逆転につながったし、結果を出すためにも必要なプレーだった」と賛辞を惜しまなかった。さらに「でも、よく走れるよね。3試合ずっと出ているけど、もっと走らせたら走れるかもね」と、タフネス熊本に舌を巻いた。守備職人の激走がチームの勢いを加速させる。【下田雄一】