新時代の主役候補が、平成最後の1戦で輝きを放った。FC東京MF久保建英(17)が松本を相手に、アシストにPK獲得と好プレーを連発。2-0での勝利に大きく貢献した。チームは4連勝で勝ち点23と首位を快走。今季無敗で平成を終えた。

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令和の日本サッカー界は明るい。そう思わせたこの日の主役が久保建だった。前半44分に中盤からのスルーパス1本で、ゴール前へ抜けるFW永井の先制点をアシスト。後半32分にはペナルティーエリア内へのドリブルでDFを手玉に取り、PKを獲得した。自身の今季リーグ初ゴールがかかった場面にも「もちろん蹴りたい気持ちはあるけど、チームなので」。手をたたいてキッカーのFWディエゴ・オリヴェイラにエール。チームプレーに徹しつつ、全得点に絡む活躍だった。

右サイドは独壇場だった。相手のプレスに合わせてトラップで軽やかにボールを浮かせてかわしたと思えば、後半17分にはドリブルで1人を置き去りに。そのまま角度のないところから放ったシュートはポストを直撃したものの、スタンドをどよめかせた。長谷川監督も「なんとか1点とってほしかった、それくらいキレがあり素晴らしかった」と絶賛した。

前途洋々の17歳の心には覚悟がある。「1試合1試合、いつが最後の試合になるかわからない」。バルセロナの黄金期を支えたスペイン代表DFプジョルの言葉だという。負傷など不確定要素もある中で、常に後悔のないプレーを追い求める。「自分はそこまでできると思いませんけど、自分だけでも、浮かれることなく、(今季無敗が)実力だと証明したいんです」。謙虚ながら力強い視線は、初優勝だけを見据えている。

これでルヴァン杯を含めて公式戦6連勝、開幕から13戦無敗となった。「いつしか『東京が勝つだろう』と大半の人が予想するようなチームになっていきたい」。令和の初代王者に向けて突き進むチームを、久保建が加速させる。【岡崎悠利】