北海道コンサドーレ札幌がJ1のチーム1試合得点史上2位タイ、クラブ史上J1最多の8得点を挙げ、清水に8-0で大勝した。

クラブ史上5人目のJ1ハットトリックを達成したFWジェイ(37)が、札幌でのJ1通算得点を25としクラブJ1最多得点者に躍り出た。この2試合は相手よりシュート数で上回りながら勝ちきれなかった。ゴールラッシュによる3試合ぶりの白星でジレンマから脱出し、勝ち点を35とし6位に浮上した。

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「ハチゼロ、サッポロ!」。試合後、札幌サポーターからの歓喜のコールが会場に響いた。クラブ史上J1で初めて8得点を挙げた。リーグでも2位タイの快挙。選手もサポーターも興奮が冷めやらない。3得点のジェイは「チームパフォーマンスが素晴らしかった。チームメートに感謝したい」。記念の試合球を受け取れず残念がったが、勝利の余韻に浸った。

衰え知らずの存在感を発揮した。39歳のJ2琉球MF小野の移籍に伴い、37歳で自身初のチーム最年長選手となって初めて迎えた試合。1-0の前半24分にクロスをヘディングで決めると、後半30、34分と、立て続けに自慢の左足でゴールを奪った。ハットトリックで札幌J1通算25得点。札幌の選手としてJ1で最もゴールを奪った選手の称号を手にした。「記録にも記憶にも残ればうれしい」とほほ笑んだ。

一気にモヤモヤを吹き飛ばした。チームは5試合連続でシュート数は相手を上回っていたが、勝敗は1勝2分け2敗。チャナティップは「最近は得点がチームの課題だった」。それでもジェイは「アンラッキーだった」と悲観せず、ミハイロ・ペトロビッチ監督(61)も「チャンスは十分作れている」と焦らず、我慢強く、信じる道を突き進み、変化を求めようとしなかった。この日、それがピッチで8発の成果となった。勝ち点を35に積み上げ、4位だった昨季の23試合消化時点とは3差。上位進出の可能性を感じさせる。

試合後、指揮官が語ったのは、8得点大勝の喜びではなく、クラブワーストタイ7失点を喫した悪夢の話だった。「昨年アウェーで川崎Fに0-7で負けた試合が脳裏にある」。今季になっても、ミーティングで選手に試合の映像を見せる1戦だ。「我々が手にしたのは(勝ち点)3ポイントだけ」と、次節ホーム東京戦への選手の油断を警戒する。残り11節、まだまだ高みを目指しているからだ。【保坂果那】