帝京長岡が日本文理に1-0で勝ち、2大会連続7度目の全国選手権出場を決めた。0-0の後半4分。来季のJ2FC町田ゼルビア入りを決めているU-18日本代表FW晴山岬(3年)が、左足シュートをゴールに突き刺した。30日に開幕する全国選手権で帝京長岡は来年1月2日の初戦、2回戦で熊本国府と対戦することが決まっている。

FW晴山は落ち着き払っていた。0-0の後半4分。MF田中克幸(3年)がボールを持つと、ゴールまでの「絵が見えた」。得点へのイメージを膨らませて田中を追い抜くとタイミングよくパスがきた。相手DF2人がスライディングするより速く左足を振り抜き、シュート。右サイドネットに放り込んだ。足から突っ込んできた相手GK小菅瑞樹(3年)を跳び越え、両腕を広げて応援スタンドに向かって走った。

「ボールを持った時の集中力を大事な場面で発揮できた」。そう話した晴山は芝生にヒザから滑り込み、スタンドに向かいユニホームをめくり上げる。下には故障でプレーできない佐藤元紀(3年)の26番のユニホームを身につけていた。「故障した選手の思いも、背負って戦った」と声を弾ませた。

晴山は決勝の主役になるべくしてなった。当初の日程では11月10日が決勝だったが、晴山がU-18日本代表に選出されたため、この日に変更。U-19アジア選手権予選(ベトナム=11月6~10日)のモンゴル戦で4得点するなど来年のアジア選手権(ウズベキスタン)の出場権獲得に大きく貢献した。「全国大会では代表として見られるけれど自分らしくやりたい」。

帝京長岡は8月31日プリンスリーグ北信越・東京都市大塩尻(長野)戦から公式戦は11試合連続の無失点勝利。「せっかくだから日本一まで無失点でいきたい。その分、自分が点を取らなければいけない」とFWとして責任感たっぷりに話した晴山は続けた。「前回の全国選手権(ベスト8)は4得点だったから、まず自分超えをしたい」。得点を重ね、県内の高校が成し遂げたことのない4強以上の成績を目指す。【涌井幹雄】