全国高校サッカー選手権が30日から開幕する。令和の初代王者を決める今大会。日刊スポーツでは「新時代 令和の初代王者へ」と題して開幕までは独特の強化法で勝ち上がった3校を取り上げて連載する。

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創造性豊かなパスをつないで、ゴールに迫っていくのが帝京長岡(新潟)のサッカーだ。来季のJクラブ内定者が3人誕生した“タレント軍団”。J2京都入りするMF谷内田哲平、町田のFW晴山岬、愛媛のDF吉田晴稀(いずれも3年)が各ポジションに配置され、ゲームを主導する。MF谷内田は「観客を魅了するサッカーで結果を残したい」と言った。

プロ内定トリオは、地元新潟県出身で、下部組織的な面を持つ長岡JYFC育ち。同クラブの西田勝彦代表(46)は「裏」という言葉をキーワードに3人を評した。「DFの裏を取れば得点機になる。当時から谷内田はスルーパスで裏を狙い、晴山は動きだしで、吉田はスピードで裏を取る。個性が生かし生かされ、いいところを引き出し合いながらプレーしてきた」。長岡JYFC出身選手は、選手権先発有力メンバーの中に6人入っている。

足元の正確な技術と切り替えの速さが、帝京長岡サッカーの真骨頂で18年の全日本U-18フットサルの優勝が証明する。18年の優勝メンバーは現3年生が主力だった。6試合12得点で同大会MVPを獲得したFW晴山は「相手のマークを外す動きが必要」とサッカーとの共通点を上げる。雪深い長岡市の冬の環境が作ったチームの特徴だ。

雪が積もる冬季は学校の人工芝グラウンドの一部を雪かきしてスペースを確保した。狭いスペースで厳しいプレッシャーを受けながら、自然と判断の速さを身につけた。フットサルの練習を特にやらなくても、全国優勝する実力がついた。不利な条件を逆手にチームは技術を磨いた。MF谷内田は「見ている人にも楽しいサッカーで結果を残したい」と言う。来年1月2日の初戦で熊本国府と対戦する。前年度の8強は新潟県と学校の最高成績タイ。今大会で歴史を塗り替える。【涌井幹雄】