高校選手権は11日、準決勝2試合が埼スタで行われる。勝ち残った4校は、下部組織にあたるチームを中学年代に持つという共通点がある。矢板中央(栃木)は4年前から一般社団法人を立ち上げるなど、部活動を超えたクラブ化にかじをきった。中学年代から育てた選手が1年から活躍するなど効果を実感しながら、同校初の決勝進出をかけて静岡学園(静岡)と対戦する。

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初の決勝進出をかけ、矢板中央はこの日、午前中に埼玉県新座市内で調整を行った。堅守速攻を信条に、最高成績は2年前の4強。初の決勝進出へ、高橋健二監督(51)は「やることは変わらない」と、前回大会もメンバー入りしたDF長江主将を中心とした守りに自信を見せた。

近年の躍進の要因の1つとして「中高一貫教育」がある。同校は15年、一般社団法人「矢板セントラルスポーツクラブ」を設立。高橋監督が代表理事を務め、ジュニアユースにあたる矢板SCというチームを運営する。練習場もトレーニングウエアもコーチ陣も高校とほぼ同じ。同法人が矢板SCのために雇っている7人の指導者は同校OBで、高橋監督の考え方を熟知する。ここから毎年約10人が矢板中央に進む。受験を経る形ながら、6年間の一貫指導を実現している。

今大会でも成果は出ている。MF星景虎(かげとら、1年)は15年当時、矢板SCで中学1年。一貫教育を始めた現体制での“1期生”にあたる。県予選では準決勝で0-1の劣勢からチームを救うミドルシュートを決めた。「コミュニケーションが取りやすい」と入学からスムーズに溶け込み、貴重な戦力になっている。

前回大会は準々決勝で優勝した青森山田に逆転負けし涙をのんだ。11日に勝てば、13日の決勝でリベンジの機会が巡る可能性もある。高校の部活動という枠を超えた「オール矢板」で悲願へ突き進む。【岡崎悠利】