J2アルビレックス新潟は20日、開幕の群馬戦(23日・正田醤油スタジアム群馬)に向けて練習。紅白戦では2年目のDF新井直人(23)が右サイドバックのポジション争いを勝ち抜こうとアピール。

昨季は、キャンプ中に練習生から選手契約を手にし、開幕戦フル出場した“シンデレラボーイ”。今季は、30試合に先発出場した経験と実力を武器に、定位置を確保し勝利に貢献することを自らに課した。

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張り詰めた空気の中、新井は冷静に力を発揮した。自分のサイドを相手が突破してくると、ゴールに近い位置でしっかりと対峙(たいじ)。ハーフウエー付近では、しつこくボールをおいかけて奪取。素早く攻守を切り替え、相手ゴール前にも顔を出した。

両チームに昨季の主力と控え、新外国人がまじり11対11の紅白戦。新井は赤いビブスを着け、右サイドバックで前後半約25分間プレーした。「高知キャンプからずっといい状態。新潟に戻ってからも変わらない」と、持ち味の対人の強さと運動量を披露した。

「過去は過去。今季はしっかり争って試合に出る」。昨季の開幕・京都戦はルーキーながらセンターバックでフル出場。第2節千葉戦ではプロ初ゴールも決めた。新潟経営大卒業前に練習生としてキャンプに参加。開幕の15日前に選手契約を結んだばかりだった。“シンデレラボーイ”は一気に注目の的になった。

だが、今季は違う。キャンプ中の練習試合では長崎から移籍のMF大本祐槻(25)が右サイドバックで起用された。昨季終盤に右サイドバックに定着した早川史哉(26)もいる。「それぞれの特徴がある。2人にはない部分をアピールしないと」。新井の視界にはライバルの姿が常に入る。

ポジション争いを制するための準備はしてきた。オフシーズンは、ウエートトレーニングとボールを使った練習を欠かさなかった。そして、東京の実家に帰省中は元新潟のMF木暮郁哉(30=現カンボジアリーグ、ソルティーロ・アンコール)らと合同自主トレ。「刺激になった」と精神的にも充実した状態でチーム始動を迎えた。

昨季は32試合に出場。「勢いもあったし、自分のことは相手チームに知られていなかった。今季は研究されているはず」。そんな厳しい状況は覚悟の上だ。昨季の第35節以降は、途中出場1試合だけ。もともと立場は“挑戦者”だ。「反骨心を持ってシーズンに臨む」。階段を駆け上がるため、今は目の前の1歩1歩を確実に踏みしめていく。【斎藤慎一郎】

○…アルベルト監督(51)は紅白戦について「キャンプの時より(システムが)機能し、コンパクトにプレーしていた」と評価した。キャンプでは実戦の合間も大声で選手を叱咤(しった)する光景が恒例だったが、この日はほとんどなし。「それだけ状態はいい」。もっとも「まだ課題はたくさんある。それを消化しながら成長していくもの」。じっくりと構えて開幕を迎える。