J1川崎フロンターレは5日、桐蔭横浜大MF橘田健人(22)の来季加入を発表した。同日、オンライン上で会見を実施。橘田は身長は168センチと小柄ながら、ドリブルとパスの高い技術からなる攻撃力と、豊富な運動量による守備力を併せ持つボランチ。「小さいころからフロンターレの試合をよく見ることがあって、素晴らしいパスワークのサッカーに憧れていた。入れてとてもうれしいです」とほおを緩めた。

今年1月に川崎Fの「レジェンド」から授かった金言が、橘田の心に響いた。川崎Fが宮崎で行った1次キャンプに参加した。同部屋は、あこがれの存在と公言するMF中村憲剛だった。キャンプではパスの速さや判断のスピードなど、プロのすごみを体感していた。想像以上に高く見えた、プロの“壁”。直面した厳しい現実を、全部受け止めてもらった。「ボールを止めて蹴ることの重要性や、試合に入る中でのメンタルの持ち方を教えてもらった。止めて蹴ることはそこまでこだわっていない部分もあった。キャンプでタイミングが遅れることがあって、そのことを話したら『もっと徹底していかないと』と言われて意識をするようになりました。メンタルも弱くて、ミスをしたらどうしようってなると話をしたら『試合前は考えてしまうけど、試合に入ったら忘れるぐらいに次どうなるかを考えている』と教えてもらいました」。サッカーへの意識はもちろん、川崎Fへの思いも高まった。

中村をはじめ、MF大島、MF田中、MF守田ら、川崎Fの中盤には、そうそうたる顔ぶれがそろう。橘田は「パスワークの中に入って試合をしたかったのと、日本で一番うまいと思っているチームに入ってやりたい気持ちがあった。早く慣れて、そのレベルでできるようになっていければと思う」と未来を描いた。会見に参加した桐蔭横浜大の安武監督から「常にひたむきにやり続けてくれている。サッカーが大好きというのをピッチで体現してくれる。献身的に走って守備をする部分が成長した」と評される“サッカー小僧”が、中盤の競争をさらに熱くする。【浜本卓也】

◆川崎F・向島建スカウト「神村学園時代から注目して見ていました。小柄だったので大学に行ってどうなるかと思っていましたが、体が大きくなって、タフになった。元々技術は備わっていたが、守備のところでも戦える選手になった。フロンターレのスタイルに合う選手。長くこのチームでプレーしてほしいし、主力になってもらいたいと思っています」

◆橘田健人(たちばなだ・けんと) 1998年(平10)5月29日、鹿児島・霧島市生まれ。神村学園(鹿児島)をへて桐蔭横浜大へ進学。目標の選手は川崎FのMF中村、神戸MFイニエスタ。168センチ、65キロ。