藤枝明誠が4年ぶり3度目の栄冠を手にした。東海大静岡翔洋に3-0で完勝。後半にMF賀茂大紀(3年)がFKを頭で合わせて先制すると、MF中山碧(あお)主将(3年)が右足ミドルで追加点。さらにセットプレーの流れでFW村松寛太(3年)がダメ押しの3点目を奪った。

コロナ禍で揺れたチームは攻撃的スタイルを進化させて、頂点に立った。全国高校サッカー選手権(12月31日開幕)の組み合わせ抽選会は、16日に行われる。

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秋晴れのエコパに藤枝明誠の歓喜の輪が広がった。選手たちはピッチで抱き合い、ベンチも総立ちで喜んだ。主将の中山は「うれしいのひと言。やり切りました」と晴れやかだった。

後半に一気にギアを上げた。同13分、均衡を破ったのはまたも賀茂だった。味方からの直線的なボールを頭で合わせ、先制点。準決勝に続く2試合連発に「自分でも不思議な感覚でした」と目を丸くした。ラッキーボーイの1発で勢いづくと、同21分に中山が右足ミドルで追加点。ロスタイムに途中出場の村松がこぼれ球を右足で押し込み、勝負を決定付けた。前年度全国覇者の静岡学園を破った準決勝も後半に3得点。ここ一番での集中力を発揮した。

今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた。同校は部員が220人以上いる大所帯。中山は「全員が同じベクトルを向いてやれているか分からなかった」。休校期間は自主トレが中心。近隣の公園を使って体を動かしていた選手もいたが、苦情を受けて練習する環境を失った時期もあった。スタッフ陣が指導しないことを前提に学校のグラウンドを開放するも、全員が平等に使えたわけではない。県総体が中止となり、引退した3年生もいた。

ただ、チームを変える貴重な時期でもあった。松本安司監督(51)は「いろいろ試せたことが大きかった」。自粛期間明けのAチームはメンバーを固定しながら強化を図った。練習試合では1人が複数のポジションをこなし、布陣も3パターン以上テスト。準決勝と決勝で得点したセットプレーは朝練習で繰り返した。

小気味よくつなぐ本来の攻撃的スタイルに、セットプレーの新たな武器も加わった。大会を通じて堅固な守備も構築。4年ぶりの全国舞台は進化した姿で挑む。大会MVPの賀茂は「静岡代表として優勝を目指したい」。目標は、静岡県勢としての全国連覇に変わった。【神谷亮磨】

▽北村正平・藤枝市長 チームが一丸となって、あきらめずに粘り強く戦う明誠スタイルは、コロナ禍の中、市民に勇気と感動を与えてくれました。全国の舞台でも活躍され、サッカーのまち藤枝の名を知らしめてくれることを願っています。