川崎フロンターレが、史上最速となる4試合を残しての2年ぶり3度目Vを決めた。終盤は足踏みしたが、シーズン中に10連勝と12連勝を達成するなど、圧倒的な強さで数々の記録を打ち立てた。

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圧倒的な強さで最速Vを成し遂げた今季の川崎フロンターレでは、生え抜きの活躍が目立った。MF田中は小学生のころから川崎Fの育成で過ごし、MF三笘や脇坂は、下部組織から大学を経由してクラブに戻ってきた。チームは育成に力を注いでおり、所属29選手のうち17選手が下部組織出身、または高卒や大卒の生え抜きだ。

庄子春男GMは「今はここまでのチームになったが、考え方のベースは『お金をかけないで強くする』。そのためには育成なんですよね」と振り返る。00年のJ1初昇格後わずか1年で降格した苦い経験から、「落ちないようなチームを作ろう」とこれまで取り組んできた。「外国籍選手に頼りすぎると、いなくなったときに戦力が落ちる。強さを持続する意味でも、育成しながらチームになじませていく。積み上げだと思うんですよ」。MF中村をはじめ、DF谷口、MF大島、FW小林ら、クラブの核を成す選手は生え抜きが多い。05年の再昇格から“シルバーコレクター”と呼ばれた時期を経て、黄金期を迎えた今も、その軸をぶらすことなく貫いている。

獲得選手を見極める上で、最も重視するのは技術。次いでスピードや体の強さを見るという。これも川崎Fのスタイルに合う選手を追求したもので、チームが目指すサッカーも一貫している。もちろん、リーグ優勝で得た資金でFWレアンドロ・ダミアンを獲得するなど、必要な補強も並行している。しかしその裏には「お金をかけないで強くする」という、育成をベースにしたチームづくりがある。【杉山理紗】